亡き母から受け継いだレシピで、みそ汁を作り続ける少女の作文がこの春、小学2年生向けの道徳教材に載った。少女は7年前、母をがんで失い、父とふたりの暮らしになった後も毎朝、台所に立ってきた。みそ汁を作っている時は、ママが隣にいる感じがする――。その作文は編集担当者の心を打ち、多くの子どもたちに届けられることになった。 少女は福岡市中央区の中学1年生、安武はなさん(12)。5歳の時に、母の千恵さんを亡くした。 千恵さんは25歳だった2000年に乳がんが見つかった。03年2月、はなさんを出産したが、その年の末に肺に2センチ弱のがんが見つかり、骨や肝臓にも転移。08年7月、33歳で亡くなった。 父で会社員の信吾さん(51)は12年、闘病生活などについて書いた本「はなちゃんのみそ汁」(文芸春秋)を出版した。千恵さんが闘病中の06年に始めたブログも盛り込み、はなさんも含めて3人の共著にした。本はベストセ