システム開発がなかなかうまくいかないのは、そのための知識や知恵が世の中に存在しないためではありません。日々、新しい手法や技法が提唱されていますが、それはこれまでの知識や知恵が不足しているからだと考えるべきではありません。実際はその逆で、システム開発をうまく進めるための知識や知恵は、既に十分すぎるほどあるのです。 手法がないと悩む前に、まずは「解の公式」で簡単に解を求めようとする、その心に気づくべきかもしれません。それとも手法を求めるのは「統一理論」を求める純粋な科学的な探究心によるものなのでしょうか。そうだとすれば、その心はシステム開発の一つの局面における重要な資質であることは間違いないでしょう。しかし同じ心が、別の局面ではプロジェクトの足を引っ張ることにもなるのです。 まずはソフトウェア工学や開発方法論についての先達の識見です。システム開発にあくまでも数学的な美しさを求める心には、あるい