千葉県柏市の東京大物性研究所の実験室に、毎日夜にならないと現れない研究者がいる。低温下での物質の性質を研究する鳥塚潔さん(53)だ。東大と雇用関係はなく無給だが、「外来研究員」という肩書で研究する。 鳥塚さんは、埼玉大と東京都内の二つの私立大、計3大学で物理学などを教える非常勤講師を掛け持ちして生計を立てる。研究時間は授業後の夜や週末。授業1コマ(90分)の給与は1万数千円。今年度後期は週計14コマをこなした。「移動や授業の準備で実験の時間がとれない。だが、大学は授業がない期間も長く、週10コマ以上ないと生活が厳しい」と話す。 法人化以降、国の行財政改革の一環で06年度から5年間で5%の人件費削減が大学にも課された。多くの大学は退職教員の補充をせず、人件費の安い非常勤講師で穴埋めするようになった。 非常勤講師の日当や宿泊費などの経費削減も広がっている。鳥塚さんの場合、埼玉大から交通費に加算