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ブックマーク / finalvent.cocolog-nifty.com (6)

  • [書評]記憶する心臓―ある心臓移植患者の手記(クレア・シルヴィア他): 極東ブログ

    このところ思うところあって「記憶する心臓―ある心臓移植患者の手記(クレア・シルヴィア他)」(参照)を読み返した。訳書は一九九八年に発売されたもので、もう七年も前になる。その後読み継がれているふうもないので事実上絶版になったようだが、アマゾンの古書では安価に手に入る。文庫で復刻されるかもしれない。 話は、実記の体裁をとっているが奇譚と言っていいだろう。クレア・シルヴィアというユダヤ人中年女性が脳死の若い男性の心臓と肺を受けて同時移植手術を受けたところ、術後に、移植元の若い男性の性格が乗り移ったり、また睡眠中の夢のなかでその若者にあったり、その若者の記憶が乗り移ったりしたというのだ。通常、移植手術を受けた人はもとの脳死者の情報を得ることができないが、彼女は夢で知った若者の名前を手がかりに人を突き止め、その家族に出会うことになる。 そんな話がありえるだろうか、臓器にそれ自身の記憶が宿り、移植手

  • [書評]内臓が生みだす心(西原克成): 極東ブログ

    このの内容は、とりあえずと限定するのだが、「内臓が生みだす心」(参照)という標題がよく表現している。人の心というものは内臓が生み出すのだというのだ。 現代の医学では人の心は脳が生み出すということになっているから、当然このの主張はトンデモナイといったことになる。実際、書を読まれるとわかるが、あちこちにトンデモナイ話がごろごろとしている。だが、これがそれぞれの端となるトンデモナイ主張をあちこちプチプチとビニールの気泡緩衝材のように潰したところで意味はない。というのは、このトンデモナイ説の背景には、巨大な一つの思想が横たわっており体系となっているからだ。…その話はこのエントリでは、まだ、触れない。なお、書をアマゾンでみたらすでに事実上絶版になっていた。古書では購入できる。追記(2005.10.18):訂正。現時点で「内臓が生みだす心」は絶版にはなっておらず、版元に在庫が十分にあるとの連絡

  • 教行信証の還相回向について: 極東ブログ

    宗教めいた話が続くのもなんだがスウェーデンボリなど読み返しつつ、教行信証の還相回向(廻向)というのを別の角度からつらつら考えていたら昨日、「教行信証」に親鸞自筆の書き入れがあったというニュースを聞いて奇妙な感じがした。What a coincidence!  背中の翼の生えていたあたりをずんと突かれたような気がして(冗談)、少し書いてみようかと思った。他愛ないというかくだらない戯言であるが。 きっかけとなったニュースは毎日新聞が早かったようだ。”親鸞:「教行信証」自筆に未知の書き入れ”(参照)より。 浄土真宗の開祖、親鸞(1173~1262年)の主著「教行信証(きょうぎょうしんしょう)」の自筆である「坂東(ばんどうぼん)」(国宝)の修復に伴う調査で、つめ跡のように紙面をへこませて文字や印を記す筆記具、角筆(かくひつ)による書き入れが見つかった。漢字の振り仮名や段落の印など約700カ所

  • [書評]実践 行動経済学 --- 健康、富、幸福への聡明な選択(リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン): 極東ブログ

    [書評]実践 行動経済学 --- 健康、富、幸福への聡明な選択(リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン) 台湾では昔から似たような仕組みがあったように思うが、日で横断歩道の信号表示に残量タイマー表示が追加されたのは二年くらい前からだろうか。例えば、横断可能な青の状態の時間はあとどのくらいでなくなるか。青の縦バーが刻々と短くなっていくことで表示する。赤の状態でも同じなので青に変わるまでの時間がわかる。 横断歩道の信号に残量表示が付加されることで何かメリットがあるのか。普通に想像してもあると言える。横断中に青の残量が減ってきたら少し小走りで横断したり、横断歩道に着く手前で残量が僅かなら次の青を待つ。以前人々がよくしたように直交する側の道路の信号が黄色になると横断歩道に飛び出すという行為が抑制される。こうした人々の行動を変化させ、交通事故が減らすメリットがある。信号の仕組みに手を加えるこ

  • [書評]シリコンバレーから将棋を観る - 羽生善治と現代(梅田望夫): 極東ブログ

    書標題「シリコンバレーから将棋を観る - 羽生善治と現代(梅田望夫)」(参照)に含まれる「シリコンバレー」は、米国の情報技術先端地域であり、著者梅田望夫が10年以上も情報産業コンサルタントをしている土地でもある(参照)。標題が意味しているのは、最先端の情報技術の視点から、日の伝統な将棋の世界で得られる最先端技術への啓発である。 将棋を単に優れた伝統だからとして見直すのではない。すでに現代将棋の渦中にあり、伝統を踏まえつつそれを乗り越えようとする若き天才棋士羽生善治の現在の姿のなかに、情報産業の未来のありかたをとらえようとしている点が書の特徴だ。なぜ現代将棋に情報産業の未来を見ることが可能なのだろうか。そこには羽生に始まる現代将棋の天才たちの達成があるからだ。 梅田が羽生に注目したのは、ちょうど梅田が起業した時期にも重なる時期に、将棋専門誌「将棋世界」に連載された羽生による「変わりゆく

  • 1976年のギラン・バレー症候群: 極東ブログ

    2月のことだが、女優の釈由美子が難病の「ギラン・バレー症候群」にかかったという話をネットで見かけた。人がブログに書いたものらしい。私は見ていない。ファンは心配したようだが、その後医師から1週間ほどで完治すると言われたとの話もあったらしく、軽症だったらしい。 ギラン・バレー症候群の患者数は人口十万人に一人程度であり、難病に認定されている。が、難病の多い神経疾患の範疇で見ると発生頻度が高く、また予後は悪くないことが多い。原因は、ウイルスや細菌の感染に引き続いて発症することから、感染源に対する抗体が誤認して末梢神経も攻撃する、自己免疫であると見られている。 インフルエンザ・ワクチンによる副作用としてごくまれに発生することがあり、2006年の厚生労働省調査では、ワクチンの接種との因果関係を否定できない4ケースの1つに相当した。通常のインフルエンザ・ワクチンではほとんど発生しないと見てよいのだが、

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