アジャイル型プロセスの中で,XPと並んで有名なものが「スクラム」である。個人の生産性を重視するXPと違い,スクラムはマネジメントを重視して,チーム全体の生産性向上を目指す。初心者にはとっつきにくい面もある,スクラムの基本的な考え方や開発の流れを紹介する。 「スクラム」という名称は,おそらくアジャイル型プロセスの中で最も風変わりなものである。すでにご存知の方も多いと思うが,この名称はラグビーの「スクラム」からきている。 スクラムの基になる考え方は,一橋大学教授の竹内弘高氏と野中郁次郎氏が1986年に発表した論文「ラグビー方式による新製品開発競争」にある。その骨子は,実作業を担うメンバー自身が大きな責任と権限を持つこと,そしてメンバー全員が一丸となって開発に取り組むというものだ。ただし,この論文はソフトウエア開発ではなく,工業製品を開発するプロジェクトを対象にしていた。 アジャイル型プロセスと