3月になった。人事異動の時期。間もなく、長距離通勤を余儀なくされる人が出るだろう。家族の都合で単身赴任を選ぶ人もいるだろう。勤務場所だけではなく、仕事の内容まで変わる勤め人にとっては、どうにも落ち着かない3月である。 年内のある決まった時期に、まとまった人数が大量に異動するという習慣は、日本以外にもあるのだろうか。少なくとも私が赴任していたラテンアメリカに、そういうものはなかった。半面、日本のような終身雇用も年功序列制度もない。私には、雇用者の立場そのものが日本に比べると不安定な社会に見えた。 トップが代わったので首を切られる。契約が終了したので、次の仕事を探す。待遇のいい職場から誘われたので仕事を変える。異動というより、転職である。優秀な人材はヘッドハンティングで引き抜かれて、次から次へと職場を渡り歩いていた。 立場が不安定なのは、公務員も同じ。例えば、市に勤める管理職は市長によっ