本はやはり、はじめのページを読んでみないと合うか合わないかがわかりません。合わないと思っても、まだ機が熟していないだけという場合もありますが…。 本には三種類あると思います。第一に仕事の関係の本。第二に気晴らしの本。第三に物事を知る本。 (1) 仕事の関係の本は、大工さんがカンナやノコギリを揃えるのと同様に考えています。例えばフランク・ベトガー著『私はどうして販売によって富と幸福を得たか』(ダイヤモンド社、1955年)は、営業―お客を作り、作ったお客を維持しながら、その数を増やしていくこと―のバイブルです。営業以外でも、時間の使い方について役に立つことが書いてあります。とっくに絶版で、私は図書館で借りて主な所をコピーしました。 (2) 気晴らしの本。具体的には漫画とか、犯人当てミステリとか。最近では、図書館の新刊コーナーでたまたま見つけた今野敏の『果断』(新潮文庫)が面白かったです。 (3
乳がんになってから、“人の死”についてよく考えるようになった。以前より“死”が自分の近くにあるように感じる。(もしかしたら自分で思っていたより、命短いかも知れないし。)なんてことがいつも心の片隅にある。 監察医の上野正彦氏といえば、テレビのワイドショーなどでお馴染みの先生で、著書「死体は語る」は大ベストセラーになった。以前から読みたいとずっと思っていて、今回ようやくそのタイミングに恵まれた。 上野氏は医学部を卒業し国家試験に合格して、さて何科の医師になろうか?と思った時に非常に悩んだそうだ。父親は北海道の無医村地区で何でも診ていたなんでも屋。貧しい人から無理に診療代を取るようなことはせず、「医者は金儲けではない」というのが口癖だったそうだ。 人間にとって死とは何なのか、死をつきつめていけば、生きるとはどういうことなのかがわかるのではないか。そう考えて、二、三年死の医学である法医学をやろうと
前から気になっていた、橘みのり『トマトが野菜になった日―毒草から世界一の野菜へ』(草思社)を読んだ。 トマトが野菜になった日―毒草から世界一の野菜へposted with amazlet at 13.07.23橘 みのり 草思社 売り上げランキング: 32,470 Amazon.co.jpで詳細を見る 毎日トマト分を摂取しないと死ぬくらいのトマト好きで毎月アマゾンでカゴメトマトジュース食塩添加缶入りを定期便で箱買いしている私としては自分がおそらく世界で最も執着しているものの歴史がわかって大変面白い本だった。古い文献では今我々が食べているトマトに近いものと食用ホオズキが区別されていないのでトマトの前史が非常にわかりにくくなっているとかいうようなトマトの歴史の話はもちろん、わざわざ中南米まで取材にいって野生のトマトを確認してきたり、トマト好きとしてはうらやましい冒険の旅の話も入っている。しかし
少女と魔法 ガールヒーローはいかに受容されたのか 著者:須川 亜紀子 出版社:NTT出版 ジャンル:社会・時事・政治・行政 少女と魔法―ガールヒーローはいかに受容されたのか [著]須川亜紀子 日本の魔法少女物アニメ番組は、過去40年以上にもわたり放映されているという。少女メディア文化において、これは世界的にも稀(まれ)なケースだと筆者は指摘する。西欧では魔女は成人女性の力、美、知の象徴であり、それゆえ恐怖の対象として描かれてきた。たとえ善き魔女が描かれても、「奥様は魔女」のように白人美女が定番。だが、日本のアニメ世界に輸入されたとき、魔女は少女と合体し、可愛らしく活発な「ガールヒーロー」に変身した。筆者は1960年代から近年までの魔法少女物を分析し、女性へ向けられた複雑な要請と眼差(まなざ)しを鮮やかに解析して行く。 60年代の「魔法使いサリー」は、あくまでも女性らしさを手放さず乱暴者の男
神保町をぶらついていたら、神保町書店街の最先端をひた走るべく、カフェを併設しおしゃれに新装した東京堂書店のベストセラーの棚に「性欲の研究 エロティック・アジア」という、怪しいタイトル、表紙の本を発見し、購入。 日中韓のセクシュアリティ関連のあれこれの、歴史的考察集。 三橋順子さんは「中国の女装の美少年『相公』(シャンコン)と近代日本」という論文を書いていた。 『相公』とは、日本の陰間に近い概念のようで、その歴史、特徴などを記していて興味深かった。 とくに、宦官における、去勢の技術があるにもかかわらず、『相公』には、去勢が行われていないことを指摘していて考えさせられた。 個人的には、去勢・宦官は「男でも女でもない」、Xジェンダー、アセクシュアル的存在を人工的に作るのに対し、 『相公』は、「男でも女でもある」、両性具有的、アンドロジナス的存在を目指すという点で、 実は正反対のベクトルに向かうの
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