「あなたわかる?この気持ち」 言葉が胸に刺さりました。彼が療養所に入ったのは11歳のとき。誓約書には「死後の解剖に承諾します」と書かれていました。そこは隔離された施設。詳しい意味は理解できない。誰もが当たり前に署名するしかありませんでした。つい50年ほど前の出来事です。(岡山放送局記者 周英煥) 私は3年前、岡山県に記者として赴任しました。2つの国立ハンセン病療養所があり、かつて国の誤った隔離政策で入所した元患者がいまもふるさとを離れて暮らしています。 「らい菌」によって皮膚や神経が侵されるハンセン病。 現代では感染することも発病することもほぼありませんが、治療法がなかった時代には後遺症が残ることがあり、さらに「感染しやすい」といった誤った認識から偏見や差別が生まれました。 何度か療養所を取材に訪れていましたが、心のどこかですでに解決された問題だと考えていました。 ことし9月ある記事が目に