先週の記事についてコメントがあったので、少し補足しておく。安倍政権の強さの原因として牧原出氏も御厨貴氏も一致して指摘するのは、菅官房長官が内閣人事局を通じて霞ヶ関の幹部600人の人事を握り、実質的な政治任用にしたことだ。 官僚の人事は各官庁が決めて人事院が承認するのが当然と考えられていたが、これはおかしい。国家公務員法では「任命権は、内閣、各大臣に属するものとする」と定めている。もちろん何万人もいる職員を閣僚が任命できないので、人事を官僚に委任することはできるが、本来は政治任用なのだ。 戦前の政党政治の時代には、幹部人事は政治任用で、政権交代のたびに各官庁の幹部が大幅に入れ替わった。これは政治主導になる反面、縁故採用が横行して腐敗の原因ともなった。戦後改革でGHQは日本の官僚制度を民主化するため、職階制を導入した。これは幹部を政治任用にして公務員を職能ごとに採用し、その成績によって昇進させ