モノ造り大国を自認する我が日本で、ホンダといえば本田宗一郎氏、スカイラインGTと聞けば桜井眞一郎氏など、偉大な技術者たちの名前が、すぐに思い浮かぶ。しかし、国運を担って太平洋戦争を戦った日本陸海軍機の技術者となると、なかなか名前が出てこない。そんな中で唯一の例外は、零式艦上戦闘機=零戦の設計主務者を務めた堀越二郎技師だろう。アニメ映画「風立ちぬ」の影響で、女性から子供にいたるまで、堀越技師の名前は、広く知られることとなったからである。 空気抵抗を低減するため爆撃機用大型エンジンを、通常より後方に搭載した独特の紡錘形フォルム(Photo:Atsushi "Fred" Fujimori) とはいえ堀越技師が、零戦の次に手掛けた局地戦闘機「雷電」は、大戦機ファン以外にはあまり知られていない。山積する技術的な問題を、完全に解決できなかったため、零戦ほど活躍できず、また生産機数も少数に留まったからだ