IT業界の問題点として,よく指摘される「人月工数主義」。例えば,2006年6月に産業構造審議会 情報経済分科会 情報サービス・ソフトウェア小委員会がまとめた「情報サービス・ソフトウェア産業維新」でも,「俗に『多重下請構造,人月工数主義』といわれる旧態依然としたビジネスモデルは,この十年間本質的には変化していない」と,人月工数主義に問題があることを指摘している。 とはいえ,「人月単価」それ自体が悪いわけではない。必要な工数にエンジニアの「単価」を掛けなければ,システム開発のコストは計算できないからだ。 問題は,「情報サービスの『コスト』であるIT人材の単価についてもIT人材のスキルに関する客観的尺度がない」(情報サービス・ソフトウェア産業維新)ことだろう。客観的尺度がないので,見積書を受け取るユーザー企業側にとっては,そこに書いてある人月単価が,いったいどんなスキルを持つエンジニアの単価なの
