1962年10月15日から10月28日は、史上もっとも人類滅亡の危機が高まった13日間だった。なにしろ、アメリカとソ連という超大国同士の全面核戦争が、ハリウッド映画のストーリーとしてではなく、現実的なオプションとして両国首脳に議論されていたのだ。アメリカ大統領ジョン・F・ケネディもソ連第一書記ニキータ・フルシチョフも、決して望んではいなかったはずの破滅的な結末へもう少しで足を踏み出すところだった。本書は、この危機をもたらしたものは何か、この危機がギリギリのところで回避されたのはなぜか、そしてこの危機からわたしたちは何を学ぶことができるのかを教えてくれる。 この13日に及ぶキューバ危機を扱った書籍は数多いが、「大方の研究書は分厚すぎ、論文は狭い範囲に焦点をしぼった専門的なものがほとんど」で事実関係に誤りが見られるものが多いと著者はいう。そのため本書は、危機の全体像を数時間で正確に理解できる概