何らかのストレスを感じている状況で「現在の環境をストレスに感じる必要はない」と“記憶”することによって、いわゆる「場慣れ」が実現します。例えば、最初は大勢の人の前に立つと、それだけでアガってしまっていた人が、繰り返し「大勢の人の前に立つ」というストレス状況に置かれることによって、記憶を上書きしてアガりを克服できるわけです。 この一連のプロセスでは海馬(脳内で記憶をコントロールする部位)が重要な役割を果たしている、というのが前回の「ストレスと記憶力の関係」の内容でした(参考:『脳はなにかと言い訳する』)。 さらに興味深いのは、過剰なストレスは海馬の働きを弱めるものの、適度なストレスは海馬の“成長”を促すという点です。 これについて、同書では以下のようなネズミを使った実験を取り上げています。 ●ネズミをある箱の中に入れる(箱の底は電流が流せるようになっている) 1.ブザー音を聞かせてから電流を