ラファティを読んだ勢いで手をつけたのが、買って積みっ放しだった『グラックの卵』。 矢野徹先生亡き今、翻訳SF界最大の巨星と呼んでも過言ではない浅倉久志氏が 自ら偏愛するユーモアSFを選りすぐったアンソロジーである。 刊行後1年経過した本の後に、6ヶ月前に出た本の話をするのもどうかとは思うが タイムリーさと無縁なのは毎度のことなので、特に気にせず紹介してみたい。 ・ボンド「見よ、かの巨鳥を!」 ―宇宙の果てから太陽系へ飛来する謎の物体。それはまぎれもなく巨大な鳥だった! 惹句とあらすじを聞くと完全なナンセンス小説だけれど、実際に読んでみると バカバカしい中にも緊迫感があり、普通にハラハラした話。 結局のところ、この作品の発想自体が「特撮怪獣映画」と同じなのだと思う。 ナンセンスな部分に目をつぶれば、破滅SFの佳作として十分楽しめる。 物理法則はさておき、でかい鳥が宇宙から飛んでくるという異常