リチャード・ブローティガン 藤本和子訳(河出文庫) 《あらすじ》 コミューン的な場所、アイデス <iDeath>と、<忘れられた世 界>、そして私たちとおんなじ 言葉を話すことができる虎たち。 西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢 見る幸福とは何だろうか・・・。 澄明で静かな西瓜糖世界の人々 の平和・愛・暴力・流血を描き、 現代社会をあざやかに映して若 者たちを熱狂させた詩的幻想小 説。 《この一文》 ” 月曜日 赤い西瓜 火曜日 黄金色の西瓜 水曜日 灰色の西瓜 木曜日 黒色の、無音の西瓜 金曜日 白い西瓜 土曜日 青い西瓜 日曜日 褐色の西瓜 きょうは灰色の西瓜の日だ。わたしは明日がいちばん好きだ。黒色の、無音の西瓜の日。その西瓜を切っても音がしない、食べると、とても甘い。 そういう西瓜は音を立てないものを作るのにとてもいい。以前に、黒い、無音の西瓜で時計を作る男がいたが、かれの時計は音を立て