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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ntmym (11)

  • 『西瓜糖の日々』 - 半透明記録

    リチャード・ブローティガン 藤和子訳(河出文庫) 《あらすじ》 コミューン的な場所、アイデス <iDeath>と、<忘れられた世 界>、そして私たちとおんなじ 言葉を話すことができる虎たち。 西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢 見る幸福とは何だろうか・・・。 澄明で静かな西瓜糖世界の人々 の平和・愛・暴力・流血を描き、 現代社会をあざやかに映して若 者たちを熱狂させた詩的幻想小 説。 《この一文》 ” 月曜日 赤い西瓜 火曜日 黄金色の西瓜 水曜日 灰色の西瓜 木曜日 黒色の、無音の西瓜 金曜日 白い西瓜 土曜日 青い西瓜 日曜日 褐色の西瓜 きょうは灰色の西瓜の日だ。わたしは明日がいちばん好きだ。黒色の、無音の西瓜の日。その西瓜を切っても音がしない、べると、とても甘い。 そういう西瓜は音を立てないものを作るのにとてもいい。以前に、黒い、無音の西瓜で時計を作る男がいたが、かれの時計は音を立て

    『西瓜糖の日々』 - 半透明記録
  • オルダス・ハックスリイ『すばらしい新世界』 - 半透明記録

    オルダス・ハックスリイ 松村達雄訳 (「世界SF文学全集10」早川書房) 《あらすじ》 「中央ロンドン人工孵化・条件反射育成所」では、階級ごとに選別された胎児が安定的に大量生産されている。この文明世界においては人々は「共有、均等、安定」のなかにあり、人工孵化は人々を「単なる自然への奴隷的模倣」であった妊娠・出産に伴う家族関係から解放し、彼らはまた病も老いも死をも恐れることなく幸福に暮らしている。 そこへあるとき、不幸とも言える偶然によってこの文明社会に、上流階級の男女を「両親」に持つ青年が現れ――。 《この一文》 “しかし、一たん目的観的解釈を認め出せば――いや、その結果がどうなるか、しれたものでない。それは、上層階級の思想堅固ならざる連中の条件反射訓育をただちに台なしにするおそれのある思想である――彼らをして至高善としての幸福に対する信仰を失わせ、その代りに、目標はどこかはるか彼方に、現

    オルダス・ハックスリイ『すばらしい新世界』 - 半透明記録
  • 『美しい水死人 ラテンアメリカ文学アンソロジー』 - 半透明記録

    ガルシア=マルケスほか 木村榮一ほか訳(福武文庫) 《内容》 浜辺に打ち上げられた巨大な物体。絡みつく 藻やゴミを取り除いて現われた水死体のあま りの美しさに、村の人々は息をのみ、何くれと なく世話を焼く。ガルシア=マルケスの表題作 「美しい水死人」をはじめ、17人の作家が、独特 の時間の流れの中に織りなされる日常と幻想 の交歓を描く。豊穣なラテンアメリカ文学の 薫りをあますところなく伝える短編集。 《この一文》 ” 誰の言うこともきかず、ふざけていたずらばかりしていた。来客があると、その人の鼻をねじってみたり、玄関先に集金人が現われると平手打ちをくらわせたりした。また、自分のことを知らない人がやってくると、わざと、目につくところに寝そべって<死んだふり>をするのだが、そのあとだしぬけに卑猥な指形を作ってみせた。かつての主人である司令官の顎を軽く叩くのがひどく気に入っていたが、蠅がうるさく

    『美しい水死人 ラテンアメリカ文学アンソロジー』 - 半透明記録
  • 『対訳 ブレイク詩集』 - 半透明記録

    松島正一編(岩波文庫) 《内容》 「虎よ、虎よ、輝き燃える/ 夜の森のなかで・・・」(「虎」) --彫版師、画家、預言者 ・・・と多面的な顔をもつイ ギリスの詩人ウィリアム・ q`1827)。『無 垢と経験の歌』『セルの書』 『天国と地獄の結婚』『私的 素描』など、イギリス・ロ マン派のさきがけとなった詩人 の神秘的な幻想詩のエッセンス を対訳形式で収録。 《この一節》 ”Truth can never be told so as to be understood,and not be believ'd. Enough! or Too much. 理解されるように語られても信じられない真理というものはありえない。 十分に! または十分以上に。 --『天国と地獄の結婚』「地獄の格言」より� ” ” Arise, and drink your bliss, for every thing th

    『対訳 ブレイク詩集』 - 半透明記録
  • ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 『愛はさだめ、さだめは死』 : 半透明記録

    ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 伊藤典夫 浅倉久志訳(早川書房) 《あらすじ》 自然と能のまえにとまどう異星生物のラ イフサイクルを、斬新なスタイルで描き、 1973年度ネビュラ賞に輝く表題作ほか、コ ンピュータによって他人の肉体とつながれ た女の悲劇を通して、熾烈な未来社会をか いま見せ、1974年度ヒューゴー賞を獲得し たサイバーパンクSFの先駆的作品「接続 された女」、ユカタン半島に不時着した飛 行機の乗客が体験した意外な事件を軸に、 男女の性の落差を鋭くえぐった問題作「男 たちの知らない女」など、つねにアメリカ SF界の話題を独占し、注目をあつめつづ けたティプトリーが、現代SFの頂点をき わめた華麗なる傑作中短篇全12篇を結集! 《この一文》 ” ただし、実はポールを愛してるのは、八千キロかなたのP・バークなんだ。P・バーク、地下牢につながれ、電極糊の臭いをぷんぷんさせた怪

    ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 『愛はさだめ、さだめは死』 : 半透明記録
  • 魔法使いの弟子 - 半透明記録

    ロード・ダンセイニ 荒俣宏 訳(ちくま文庫) 《あらすじ》 一人の年若い旅人が、魔法使いの<森の家>を探し、山中をさまよい歩いていた。彼の城の財政は、もはや魔法に頼らねばならないほどの状態で、錬金術の神秘と影を代償にした取り引き、それが最後の切り札だった。しかし、彼の探し求めるその魔法使いは、恐るべき黒魔術の徒であったのだ! 静寂にして華麗、透明にして妖美な虹色の世界が、ケルト民族特有の<黄昏の想像力>を駆使して描かれる、20世紀最大の幻想作家の傑作。 《この一文》 ” こうして影がまた伸びはじめたとき、他人の偏見と陽射しをさえぎってくれていた樫の木蔭から出たかれは、堂々と道をくだりだした。今はだれに見られても平気な影に、安全を保証してもらって。それにしても、こんなに頼りない護衛に身をまもってもらえるとは、考えもしないことだった。近衛の兵にしても、こんなに薄っぺらで、こんなに実体のない伴侶

    魔法使いの弟子 - 半透明記録
  • 『ドイツ怪談集』 - 半透明記録

    種村季弘 編 (河出文庫) 《収録作品》 ロカルノの女乞……ハインリヒ・フォン・クライスト 廃屋……E・T・A・ホフマン 金髪のエックベルト……ルートヴィッヒ・ティーク オルラッハの娘……ユスティーヌス・ケルナー 幽霊船の話……ヴィルヘルム・ハウフ 奇妙な幽霊物語……ヨーハン・ペーター・ヘーベル 騎士バッソンピエールの奇妙な冒険……フーゴー・フォン・ホーフマンスタール こおろぎ遊び……グスタフ・マイリンク カディスのカーニヴァル……ハンス・ハインツ・エーヴェルス 死の舞踏……カール・ハンス・シュトローブル ハーシェルと幽霊……アルブレヒト・シェッファー 庭男……ハンス・ヘニー・ヤーン 三位一体亭……オスカル・パニッツァ 怪談……マリー・ルイーゼ・カシュニッツ ものいう髑髏……ヘルベルト・マイヤー 写真……フランツ・ホーラー 《この一文》 ”それから二人は、都会の貧しい雪が薄く降り積もった

    『ドイツ怪談集』 - 半透明記録
  • 『怪奇小説傑作集5 ドイツ・ロシア編』(ドイツ編) - 半透明記録

    植田敏郎訳 (創元推理文庫) 《収録作品》 ロカルノの女乞(ハインリヒ・フォン・クライスト)/たてごと(テオドール・ケルナー)/蜘蛛(H・H・エーヴェルス)/イグナーツ・デンナー(E・T・A・ホフマン) 《この一文》 ”「誘惑者を追いはらい、わたしの家から罪を防ぐためには、いまなにがわたくしの役目であり、使命であるかがわかっています」 こうアンドレスは言った。 --「イグナーツ・デンナー」より ” ロシア編のほうにゴーゴリの「ヴィイ」とチェーホフの「黒衣の僧」が収録されていたので迷わず購入した一冊です。ホフマンの未読の作品も入ってました。やったー! 在庫僅少のようだったので、あぶなかったぜ! ドイツ編は全部で4編。クライストの「ロカルノの女乞」は、別ので何度も読んでいるので、飛ばし。クライストは怖い。でも、これはそれほどでもないですね。「聖ツェツィーリエあるいは音楽の魔力」(河出文庫

    『怪奇小説傑作集5 ドイツ・ロシア編』(ドイツ編) - 半透明記録
  • 『カンディード 他五篇』 - 半透明記録

    ヴォルテール作 植田祐次訳(岩波文庫) 《あらすじ》 人を疑うことを知らぬ純真な若者カンディード。楽園のような故郷を追放され、苦難と災厄に満ちた社会へ放り出された彼がついに見つけた真理とは……。当時の社会・思想への痛烈な批判を、主人公の苛酷な運命に託した啓蒙思想の巨人ヴォルテール(1694-1778)の代表作。作者の世界観の変遷を跡づける5篇のコントを併収。新訳。 《収録作品》 ミクロメガス(哲学的物語)/この世は成り行き任せ(バブーク自ら記した幻覚)/ザディーグまたは運命(東洋の物語)/メムノン(または人間の知恵)/スカルマンタドの旅物語(彼自身による手稿)/カンディードまたは最善説〈オプティミスム〉 《この一文》 ” ロックを信奉する小さな男がすぐそばにいた。最後にその男に言葉をかけると、男はこう言った。 「わたしは自分がどんなふうに考えているのか分かりませんが、五官のきっかけがなけれ

    『カンディード 他五篇』 - 半透明記録
  • 『怪奇小説傑作集4 フランス編』 - 半透明記録

    G・アポリネール他 青柳瑞穂・澁澤龍彦訳(東京創元社) 《収録作品》 ロドリゴあるいは呪縛の塔(マルキ・ド・サド)/ギスモンド城の幽霊(シャルル・ノディエ) シャルル十一世の幻覚(プロスペル・メリメ)/緑色の怪物(ジェラール・ド・ネルヴァル) 解剖学者ドン・ベサリウス(ペトリュス・ボレル)/草叢のダイアモンド(グザヴィエ・フォルヌレ) 死女の恋(テオフィル・ゴーチェ)/罪のなかの幸福(バルベエ・ドルヴィリ) フルートとハープ(アルフォンス・カル)/勇み肌の男(エルネスト・エロ) 恋愛の科学(シャルル・クロス)/手(ギー・ド・モーパッサン) 奇妙な死(アルフォンス・アレ)/仮面の孔(ジャン・ロラン) フォントフレード館の秘密(アンリ・ド・レニエ)/列車〇八一(マルセル・シュオッブ) 幽霊船(クロード.ファレール)/オノレ・シュブラックの消滅(ギョーム・アポリネール) ミスタア虞(ゆう)(ポー

    『怪奇小説傑作集4 フランス編』 - 半透明記録
  • 『フランス幻想文学傑作選1 非合理世界への出発』 - 半透明記録

    窪田般彌・滝田文彦編(白水社) 《収録作品》 空気の精(シルフ)…クレビヨン・フィス オリヴィエ…ジャック・カゾット 血税の島…ルイ=セバスチヤン・メルシエ 賢者の石…ルイ=セバスチヤン・メルシエ 西暦二千四百四十年…ルイ=セバスチヤン・メルシエ 片目のかつぎ人足…ヴォルテール ルソーのからっぼの墓…レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ フランスのダイダロス…レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ ロドリゴあるいは呪縛の塔…D=A=F・ド・サド 州民一同によって証言された不可解な事件…D=A=F・ド・サド トリルビー…シャルル・ノディエ 不老長寿の霊薬…オノレ・ド・バルザック 教会…オノレ・ド・バルザック ブリュラール船長の実人生…ウージェーヌ・シュー 検察官…シャルル・ラブー オネステュス…ジュール・ジャナン オニュフリユス…テオフィル・ゴーチエ 文学における幻想的なものについて…シャルル・ノディエ 《この一

    『フランス幻想文学傑作選1 非合理世界への出発』 - 半透明記録
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