「女子サッカーの火を消したくない。首都で消えてしまうなら、地方で火をつける。そのためにも面白いサッカーをしなければならないと思っています」 本田美登里(長野パルセイロ・レディース監督) まさにファンの力が起こした奇跡だった。 5月8日、なでしこリーグ第8節、南長野運動公園総合球技場――。昇格1年目の長野パルセイロ・レディースは、皇后杯王者のINAC神戸に圧倒され、前半を終えて0-2とリードされていた。長野にもなでしこジャパンの横山久美がいるが、大野忍や鮫島彩などINACとは代表選手の数が違う。 スタジアムにいた長野のアンバサダーを務める土橋宏由樹(パルセイロの男子チームで4年間プレー)も、「やっぱりINACはうまい」と力の差に愕然としていた。 だが後半、本田美登里監督の采配が流れを変える。ハーフタイムにMF大宮玲央奈の代わりに齊藤あかねが入ると、前線に起点ができるようになった。コーナーキッ