〔寄稿〕 本村 真澄 (独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構) 石油・天然ガス調査グループ調査チーム 主席研究員) 1.石油の楽観論と悲観論 石油資源の供給予測について,最近では対照的な2つの見解が公表され,大きな論争が展開されている。 一般に多く引用される国際エネルギー機関(IEA)の予測(1),米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の予測(2)は,2000年に発表された米国地質調査所(USGS)によるP50値である3兆バレルという究極可採埋蔵量評価を前提(3)としており,当面供給危機は起こらないと結論している。 一方,最近話題になることの多いキャンベルらの「ピークオイル説」は,1.8兆バレルという究極可採埋蔵量に基づいた予測で,2010年までには石油生産のピークを迎えるというものである。但し,彼の予測する生産ピークは,最初に発表された時は90年代