今年3月に新庁舎が完成した法務省の東京拘置所(東京都葛飾区)が、約80年前に建てられた旧庁舎の保存に向けた検討を始めている。「喜劇王」と呼ばれた米の映画俳優、チャーリー・チャプリンが訪れて絶賛した建物でもあり、職員は「歴史的に貴重な遺産でもあり、何とか残したい」と話している。【伊藤一郎】 旧庁舎は、前身の「小菅刑務所」時代、旧司法省(法務省)の技師だった蒲原重雄氏が設計し、受刑者が建設に携わる「直営工事」により、1929年に完成した。当時は珍しかった鉄筋コンクリート造りの3階建てで、鳥が首を伸ばし、翼を広げたような形態で、我が国の歴史的な名建築物の一つとされる。 完成から3年後の1932年、来日したチャプリンが訪問。当時の新聞記事は、旧庁舎前で写された写真を載せ、チャプリンが「世界の監獄を見たが、日本にこんな立派なものがあるとは思わなかった。恐らく設備、明るさの点からいって世界一」などと感