――新潮新人賞史上最年少、17歳(選考会当時)での受賞となりました。 受賞作の「海を覗く」は、高校2年生の美貌の青年・北条司と、彼に惹かれる同級生の速水圭一、それから速水が所属する美術部部長の矢谷始と、矢谷の予備校の同級生で非常に醜いと描写される棚橋美穂らが織りなす群像劇ですが、観念論的な「美」についての会話が差し挟まれたりと、普通の青春小説とは随分異なる印象です。なぜこの小説を書こうと思われたのでしょうか。 とにかく三島由紀夫が好きで、あんな美しい文章を書いてみたいと思った、それにつきます。また、自分が美醜について、どう感じるのかを探りたい、言語化したいという思いもあったので、観念的な会話の部分は書いていても楽しかったです。 はじめは速水と北条だけの物語にするつもりだったんです。美しい人物と、その美に惹かれるのであれば美術部の所属が一番かなと、まず二人の人物を設定しました。 それから組み
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