日本の人月商売のITベンダーは「顧客に寄り添う」というフレーズが大好きだ。私からすると極めて気色悪い言葉なのだが、SIerだけでなく下請けITベンダーの経営幹部もよく口にするから、もはや日本のIT業界のアイデンティティーと言ってよい。 最近もこのフレーズを聞く機会があった。富士通の社長交代の記者会見で、時田隆仁次期社長が「顧客第一で顧客に寄り添ってきた半面、自らアイデアを出しながら次のテクノロジーで顧客に新しい価値を届ける部分が不得意になってきた面がある」と発言したのだ。 この時田次期社長の発言の後半部分はまさに正確な認識だ。「自らアイデアを出しながら次のテクノロジーで顧客に新しい価値を届ける部分が不得意になってきた」のは富士通に限った話ではなく、国産コンピューターメーカー共通の大問題である。 昭和の間は少なくともハードウエアでは、国産コンピューターメーカーは顧客に新しい価値を届けてきた。
![気色が悪い「顧客に寄り添う」をやめないSIerに再度警告する](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/210756921a2e88d4ce267f22f23945bcd280a9f8/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fxtech.nikkei.com%2Fatcl%2Fnxt%2Fcolumn%2F18%2F00148%2F040300053%2Ftopm.jpg%3F20220512)