HDDの物理的破壊には細かな作業が必要になる。その分、データを上書きして消去する手法に比べて数倍の料金を取れるという。 短期的には業績にプラスになりそうだが、ゲットイットの広田優輝社長は浮かない表情で話す。「本来なら再利用できるはずのHDDを破壊してしまうのは、環境負荷を高めることになり、ハードウエアのライフサイクル全体を考えると必ずしも良いことではない」。ゲットイットの事業にとって、HDDを破壊してしまえば中古HDDの仕入れルートが細り、中長期的に影響が出る懸念がある。 「物理的破壊一辺倒は危ない」 「神奈川県庁の事件を受けて、HDDの物理的破壊が無条件に奨励される雰囲気があるが、かえってデータ流出の危険を招く懸念がある。HDDに保存されているデータの種類によって適切な消去手法を使い分けるべきだ」。ゲットイットなどが加盟するデータ適正消去実行証明協議会(ADEC)の技術顧問を務める沼田理