内閣改造に比べると扱いが小さいが、今井尚哉首相補佐官、佐伯耕三首相秘書官、長谷川栄一内閣広報官が退任した。いずれも経産省出身の「官邸官僚」と呼ばれた人々である。他の秘書官は留任したので、菅首相の経産省との絶縁ともいえよう。特に今井氏は経済政策だけではなく最近は外交も仕切る司令塔だったので、この影響は大きい。 今井氏といえば多くの人が思い出すのが、2016年の伊勢志摩サミットのプレゼンである。安倍首相はサミットで各国首脳にこの図を見せて「商品価格がリーマンショック前後での下落幅である55%と同じ」で「リーマン級の経済危機の再燃を警戒する」と説明した。 ちょっと見ると商品相場の暴落が原因でリーマンが破綻したようだが、因果関係は逆である。サブプライムローンに巨額の不良債権が発生していることが表面化したのは2007年8月で、2008年5月には投資銀行ベア・スターンズの経営が破綻した。これが図の左の