すっかりおなじみの光景となったソニーの業績下方修正。そのたびにメディア各社からの問い合わせが入る。いったい、ソニーはどうなってしまったのかと。私がソニーを辞めたのは〇六年三月のことであるから、既に九年近い歳月が流れた。ソニー時代最後の数年間の思い出はいまだにほろ苦く、当時の記憶は完全に封印したくもある。 巷ではさまざまな評論家達がソニー凋落の理由を取沙汰する。中には、直接取材もせず裏もとらない憶測と偏見に満ちたいい加減なものも散見される。しかし、ただ一つ言えることは、ソニーの凋落を誰よりも無念に思っているのは、ソニーを心から愛し、ソニーに人生を捧げ、ソニーの一員であることを誇りに思って力尽きるまで闘い抜いた戦士達なのではないだろうか。そしてその多くがそれぞれの闘いに敗れ、評論家や傍観者達には決してわからない思いを胸に残しながら、ソニーを去った。 私は、ソニーを辞めるとき、遠からずこのような