ようやく読了。長い。だが拙作『デカルトの密室』のテーマと強く呼応していることに驚いた。書き終える前に読んでいたら、完璧に引きずられていたかもしれない。以下は書評の下書き、備忘録。 翻訳は山形浩生。この訳者は(小説だとふつうなのに)なぜかノンフィクションだとタメ口で訳すクセがあり、読み始めてしばらくはひどく違和感があった。だがだんだん慣れてきた。 私はデネットの意見と方向性に賛同する。巻末の訳者解説は力作だと思うが、はっきりいって重要なポイントを外していると思う。何を外しているのか、ここで述べよう。まずデネットは、「自由」というものを大きくふたつの段階に分けている。生命体としての自由、つまり鳥がどこへでも飛んでいける自由と、人間の自由、私たちが「自由意志」と呼んでいるものだ。生命体としての自由から人間の自由への進化、それは道徳・倫理の進化なのだ、という話をデネットはしているのである。鳥は