長らく台湾に住む日本人として、日本のニュースサイトに掲載される台湾の関連記事を見ながら違和感を抱き始めたのは、台湾で感染が拡大した2021年5月後半からだろう。「台湾のワクチン接種は周回遅れ」「現実的な漢族のDNA」「日本人の台湾幻想、妄想」といったネガティブな言葉を多用し、台湾のワクチン政策がうまくいっていないことを批判する記事が出始めた。 さらには、「多くの台湾人がワクチンを求めて中国に殺到」「実は台湾人はアストラゼネカ製ワクチンをまったく歓迎しておらず、日本は余り物をよこしたと思っている」「在台日本人も中国製ワクチンを打ちたいと思っている」「日本で使われていないワクチンを送るのは毒を送るのと同じ」「漢人である台湾人は実はしたたかで信用できない」といった記事が目につくようになった。 「日本が送ったワクチンは毒」? こうした記事のソースの多くが、いわゆる「中国寄り」「反与党政権」の台湾メ