マジメで健康に留意し、車の運転は危険だからと免許すら取らないほどリスクを避けて生きてきた27歳の青年アダム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が、ある日名前を覚えるのも一苦労するような病にかかったと宣告される。平たく言えばガン。医師はコンプライアンスの関係か、患者の眼を見ることもなくつらつらと告知している言葉を録音している。彼は医師で、病の宣告も仕事=彼の日常だからまるで日常の一コマのように“こなしてる”感じ。でも告知を受ける側にとっては非日常、というか“自分”という個の実存が揺さぶられる事実の宣告。誰だって、生まれてきたのははじめてで、人生で経験することはすべて初めてで、当然、死ぬこともはじめて。生あるうちに行うことは、2度3度と繰り返す、あるいは毎日繰り返すことだってあるけど、死だけはすべての人に訪れるのに一回こっきりで、しかもそれぞれの個の数だけ違ったバリエーションでその有りようが存在