アラブ革命はなぜ起きたか デモグラフィーとデモクラシー 著者:エマニュエル・トッド 出版社:藤原書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政 アラブ革命はなぜ起きたか―デモグラフィーとデモクラシー [著]エマニュエル・トッド [訳]石崎晴己 大学に入学したての頃、文化人類学者、米山俊直の講義を聴いて目を見開かされた。人間のあり方は環境からの制約と、その中で発生した文化的な仕組みによって規定されている。受験勉強で乾ききった心に、世界の新しい見方は湧水(ゆうすい)のようにしみわたった。それは今にして思えば梅棹忠夫に代表される京都学派の流れをくんだものだった。 ソ連崩壊、米国衰退を予言していたとして世評に名高いトッドの著作をその大部さゆえに読むことができないでいた。彼のインタビューで構成されたこのハンディな本は、私を含め門外漢の読者にとって格好の入門書である。 彼の基礎は普遍主義にある。人間は自由と平