3名の歌人が交替で短歌作品を鑑賞します。 今年のご執筆者は奥田亡羊、田中教子、永井祐(五十音順)のお三方です。 裸眼のきみが意地悪そうな顔をしてちぎるレタスにひかる滴よ 平岡直子 「きみ」がレタスをちぎっている。 朝なのか夕なのか、食事のしたく、あるいはそのお手伝い。 「裸眼」、普段している眼鏡かコンタクトをしていない。 いかにも家にいるときのたたずまい、服もきっとラフな部屋着なのか。 「レタス」の印象からか、わたしはなんとなく朝のイメージなのですが。 このさわやかな景がものすごくエロいトーンを持って描写されるのがすばらしいですね。 初句からいきましょう。「裸眼のきみが」、はまず字余り、7音。字余りは心の余りです。はじめから歌の主体はけっこうヒートアップしているのです。ある種、攻撃的なニュアンスで余っている。 そして「裸眼」はあきらかに「はだか」を連想させる。こう、わりと胸元とか開いた