ウクライナでの戦争で対応が遅れる世界の課題 ロシアがウクライナに侵攻し、昨年のダボス会議から歴史の流れは大きく変わった。ヨーロッパは根底から揺るがされているが、欧州連合(EU)が設立されたのはこのような事態を防ぐためだった。 戦闘がいずれか停止したとしても、状況は決して以前に戻ることはない。ロシアの侵攻は第三次世界大戦の始まりとなり、我々の文明は生き残れないかもしれない。 ウクライナへの侵攻は突然起きたのではない。世界は以前から、「開かれた社会」と「閉じた社会」という正反対の二つの統治システムの間で闘争を繰り広げてきた。その違いをできるだけ簡単に定義してみよう。 「開かれた社会」では、国家の役割は個人の自由を守ること、「閉じた社会」では、個人の役割は国家の支配者に仕えることだと考える。 このシステムの闘争ゆえ、全人類に関わる他の問題は、後回しにせざるを得なくなった。パンデミックや気候変動へ