面白さというのは基本的には主観的なものであり、「何が面白くて」「何が面白く無いのか」と分類するのは脳科学的な研究でもなければ随分難しいことだ。プロット等の構造的な部分については、受け手側の体験から切り離してある程度穴などをチェックできるから、修正や定式化もある程度可能だが、それ以外の部分になるとどうだろうか? というわけでこの手の「面白さの研究」などと謳う本はろくでもない本であることが珍しくないが、本書はなかなかおもしろかった。 ただ防御が甘く、「いや、その言い切りはおかしいでしょ」とか「その論はこじつけでしょ」とか「「気がする」とかいう雑な感想が多すぎでしょ」といった残念な部分が多いが、議題や考えを発展させるネタ元としての価値が高いように思う。 (面白さ)の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか (角川新書) 作者: 都留泰作出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2