異世界ものコンテンツに見られる長くて特殊なタイトルは今、冷凍食品やコンビニ商品にも浸透しつつある。その特徴は、「看板」の役割を果たすだけでなく、内容をも語り示す「透明性」にあるという。京都市立芸術大学特任講師の谷川嘉浩さんが論じる。 (『中央公論』2022年2月号より抜粋) 国民文学としての「異世界もの」? ゼネコン勤めの37歳独身男性の三上悟は通り魔に刺され、薄れゆく意識の中で無機質な声を聞く。次に意識を取り戻したとき、自分が異世界でスライムという魔物に生まれ変わっていることに気づいた。 カタリナは、家柄のよさと親の溺愛で高慢な少女となったが、転倒した際に現代社会で女子高生だったときの記憶を思い出し、今生きているのが、当時遊んだ乙女ゲームの世界であり、ゲーム内で破滅へと向かう悪役が自分であることを悟る。 それぞれ、2013年と14年に小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた『転生した
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