そんな人気作家2人の思いから始まった試みが、「僕は小説が書けない」という作品で実を結んだ。プロの作家が、創作の過程でコンピューターソフトを使った作品を発表するのは日本で初めてという。本は10月末、KADOKAWAから刊行される。 著者は、累計部数85万部超のベストセラー「100回泣くこと」などで知られる中村航さん(44)と、中田永一さん(35)。2人は、自ら開発に携わった「物語作成支援システム(ものがたりソフト)」で作ったプロット(小説の設計図)を基に、合作小説を書き上げた。 中村さんが2012年初頭、母校の芝浦工大に共同研究を持ちかけたのが始まり。後に中田さんが加わり、2人の意見を参考に同大の学生がプログラムを作った。 ソフトは、しっかりとしたプロットやキャラクターを作るためのもの。「物語が動くきっかけ」「きっかけから生まれる試練」など11の質問に答えることで自動的に粗筋が作られ、主人公