「あれから10年——福島原発事故で目覚めた私たちの「主権者」意識と権力者のせめぎあい」より続く。 あたかもあの日に何も起こらなかったかのように こうした一連の流れを見てみるならば、「東京2020」が際限なくトラブルに見舞われ世界に恥をさらしていることに、何の驚きも起こらない。この行事を行なうことの罪は、本来東北復興に投じられるべきであった人的・金銭的資源を奪ったという実体的な次元にとどまらない。 それは、2011年3月11日に起こったことが何ほどでもないと演出すること、もっと言えば、あたかもあの日に何も起こらなかったかのような現実感覚を日本人に与える、否、押しつけるという優れてイデオロギー的な次元にこそあった。
![私たちを国ぐるみの「精神的自傷行為」から救うには(白井 聡)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/485105e01e153f00dae20c81036dd98a740fca2c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fc%2F7%2F1200m%2Fimg_c77ac67a1edb490d19e4c727d3381cfc102884.jpg)