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ブックマーク / www.hyj-susume.com (6)

  • 第27回:衣服の記号論 - はぐらかし・やり過ごし・じゃれ合い的生活のすすめ

    3.記号とブリコラージュ――あるいはモノの単独性について 3-1.制服という記号 鷲田さんのこの(『ちぐはぐな身体』)は、衣服やファッションを「記号」として扱っただということができます。つまり、衣服の記号論ともいえます。ただし、衣服を記号だというとき、それは衣服が着る人の地位や職業や性別や年齢やキャラ(つまり同一性)を示す記号だということだけではありません。同一性を表す記号としての衣服の典型が「制服」ですが、鷲田さんは、このの中で、制服についていろいろ考察して、制服が制度的な同一性に人を従順に縛り付けておくものといった、一筋縄の単純な「記号」ではないことを論じています。たとえば、鷲田さんは、制服を着崩すことが抵抗の表現になるだけではなく、制服の「裏の顔」として、「制服へのいわば裏返されたまなざし」、すなわち、コスチューム・プレイや着せ替え、異性装、セーラー服願望など、制服への執拗なフ

    第27回:衣服の記号論 - はぐらかし・やり過ごし・じゃれ合い的生活のすすめ
  • 第9回:「灰色の男たち」への抵抗 - はぐらかし・やり過ごし・じゃれ合い的生活のすすめ

    3.〈聞く力〉が居場所をつくる 自分のまわりにも(つまり歓待や贈与や分配に溢れていた「貧しい人たち」の社会にも)「灰色の男たちの世界」が侵入してきていることに気がついたモモは、それに対して抵抗を始めます。何をしたのかといえば、友だち一人ひとりを訪ねていって、「話を聞く」ということ、それだけです。つまり、モモは自分の持っているたったひとつのやり方、〈聞く力〉によって抵抗を試みています。たとえば、モモがニノの店を訪れた場面を見ていきましょう。 「そうともさ。」リリアーナがさけんで、おなべをガチャンといわせました。「このひとにゃあ、まるっきりべつの心配ごとがあるのさ! たとえばね、どうやってむかしからのだいじなお客さんを追いだすか、これがいまの心配ごとなのさ! おぼえているかい、モモ、いぜんにいつもすみのテーブルにすわっていたじいさんたちのことを? このひとときたら、あのじいさんたちをおんだしち

    第9回:「灰色の男たち」への抵抗 - はぐらかし・やり過ごし・じゃれ合い的生活のすすめ
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2016/11/30
    "誰でも、自分の友人が働いているファストフード店は、全国に何店舗も同じラベルの店があったとしても、他のものとは違う特別のものと認識するはずである。[小原 2013:29-30]"
  • 第7回:『モモ』を読む。 - はぐらかし・やり過ごし・じゃれ合い的生活のすすめ

    1.「モモの世界/灰色の男たちの世界」という対比 では、今回からファンタジー作家のミヒャエル・エンデ*1の『モモ』を読んでいきましょう。 この作品は、子供から大人まで楽しめるもので、読んだことのある人もいるかもしれません。面白い場面がたくさんありますが、どの場面が印象に残るかは人それぞれでしょう。 ここでは人類学的視点を考えるために、まず、この作品の設定に注目したいと思います。 『モモ』では、二つの世界、二つの社会のあり方が対比されています。「モモのつくる世界」と「灰色の男たちのつくる世界」の対比です。この「モモの世界/灰色の男たちの世界」という対比のそれぞれの項の意味内容を挙げていくことが、この作品の解釈になっています。すなわち、「質的時間(=生きた時間)/量的時間(=死んだ時間)」、「贈与経済/市場経済」といった対比が、「モモの世界/灰色の男たちの世界」という対比の意味することだという

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2016/11/24
    "〔世界に一つだけの花の〕「オンリー・ワン」は文字通り比較不可能な「唯一無比性(ユニークネス)」、「かけがえのなさ」ということでしょう" これは私もずっとそう思ってた
  • 第4回:0円生活の「公・共・私」 - はぐらかし・やり過ごし・じゃれ合い的生活のすすめ

    4.コモン=共 坂口さんの『TOKYO 0円ハウス0円生活』を読んだ感想を何人かに聞いたとき、「面白かったけれど、犯罪のようなことを称賛するのはどうなのだろう」という趣旨のことを述べてくれた人がいました。坂口さんも、あとがきで「隅田川に家を建てるという行為は許されているものではない。しかし鈴木さんの家を調べれば調べるほど、なぜこの生活が許されず、周りには巨大な建造物が建っていくのか、正直分からなくなっていった」[坂口 2011:288]と書いているように、鈴木さんのやっていることは「不法行為」とされています。河川敷に家などの工作物を建てることは河川法第26条に違反した行為だからです。けれども、川沿いに家を建てて住む人にこの法律が適用されて罰則を受けたケースはないようです。 ただし、この法律違反に対して行政がなにもしないわけではありません。隅田川沿いでは、管理者である国交省が月に1度、河川敷

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2016/10/28
    公有と私有以外の共(コモン)有。"コモン=共でのつながりは個人が集団に埋没しているのではなく、個人が特異的・単独的な存在のままつながっている" ネグリ=ハートより
  • 第3回:0円生活にみる「人間的な生活」 - はぐらかし・やり過ごし・じゃれ合い的生活のすすめ

    3.贈与・分配 では、前回の鈴木さんのブリコラージュ生活に引き続き、彼の周りの社会における「贈与・分配」というやり取りを見ていきましょう。ここで「贈与・分配」という言い方をしていますが、厳密に学術用語として使うとするなら、贈与と分配とは異なったもののやり取りになります。ただ、ここでは、贈与はいつか返さなければならないもの、分配はその場のみんなで分かちあうこと、ぐらいに理解しておくので十分です。鈴木さんの周りには、贈与や分配があふれています。 「そうして試していると、テレビでもラジオでもステレオでも全部このバッテリーで使えるじゃないの。びっくりしたよ」 それはびっくりです。たぶん、ほとんどの人が知らないでしょう。そして「隅田川のエジソン」はそれの特許を取ることなんか考えず(まあ、特許は取れないでしょうが)、電気文明を無償で広めるのである。 「そのころ、当にたくさんのバッテリーやらバイクやら

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2016/10/26
    こういう共同的な場の姿ってクラとかポトラッチみたいな力の誇示を含むものとはだいぶ違ってるようなきがする(返報性によってずっと続いていくっていうのはどちらもそうだろうけど
  • 第1回:人類学で現代社会をやり過ごす? - はぐらかし・やり過ごし・じゃれ合い的生活のすすめ

    この連載は、現代社会を少しでも楽しく生きていくために役に立つ文化人類学のもつ独特の「視点」や「考えかた」をわかりやすく示し、皆さんに身につけてもらうことを目的としています。そのために、現代のさまざまな問題に触れた、一般向けの(新書や文庫になっているものに限定しました)を人類学的に読み解いていくことによって、人類学的視点とはどういうものかを示していこうというやり方を採ってみようと思います。 取り上げるはいずれも人類学者が書いたものではありません。目的が、文化人類学の専門的知識を習得するというよりも、文化人類学的な視点を身につけることにあるからです。人類学的視点を解説するなどという目的をもたないを人類学的に「読む」ことによって、つまり「読みかた」をとおして人類学的視点を浮き上がらせるというやり方を採り、現代社会を生き抜くヒントにしてもらおうというわけです。 これから6回にわたり、坂口恭平

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2016/10/14
    人類学を特徴づけるのは"「世界のある種のとらえ方、あるいは、問題を提起する独特のやり方」"/学問を知るにはその「生い立ち」を知るべしとのこと
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