肉体的な疲労と違って、脳の疲労はなかなか自覚しにくいものです。ですが、脳が疲れていれば、仕事で大きなミスを犯してしまう可能性も高まります。そんな脳を、なるべく疲れさせないようにするにはどうすればいいのでしょうか。 お話を聞いたのは、精神科医であり禅僧でもある川野泰周(かわの・たいしゅう)さん。まずは、脳を疲れさせる根本的な要因を脳科学的視点から教えてもらいました。 構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人(インタビューカットのみ) 脳が疲れる根本原因は「ネガティブな感情」と「マルチタスク」にあり 脳を疲れさせる大きな要因として、まずは「ネガティブな感情」が挙げられます。 脳のなかで感情を司るのが扁桃体という部分なのですが、たくさんのネガティブな感情を持つと、その扁桃体が過活動の状態になります。これに反応するように、理性を司っている大脳皮質の前頭葉が、扁桃体の活動を抑えようと一生懸命