働き盛りの30歳代の自殺者数が過去最多を記録した。20歳代後半と合わせ、この年齢層はバブル崩壊後の「就職氷河期」「ロストジェネレーション」世代と呼ばれる。世代の旗手や専門家らに、現状の問題点を聞いた。【千代崎聖史】 ◇政治に力なく、希望持てぬ ◇非正規就業で「高齢」扱いに ◇給料減り暮らせない現実 小説家の平野啓一郎さん(33)は近著の「決壊」で、「自分かこの世界か、どちらかを愛することができれば自殺を踏みとどまることができる」と書いた。しかし、その目に、現在の日本は「政治のリーダーシップもメッセージもなく、生きることに期待や希望が持ちづらい」と映る。 「せめて、自分を好きでいるために、人格を複数持つべきだ。職場での自分が嫌いでも、家族といるときの自分が好きなら、その人格をベースにする。コミュニケーションの機会が増えるし、孤立しない」と話す。 作家の雨宮処凛(かりん)さん(34)の周囲にも