入社2〜3年の若手社員が会社を辞める早期離職が問題になっている。新卒者を一人前に育てるには、会社説明会などの採用段階の費用も含めて、数百万〜数千万円のコストがかかるうえ、中長期の人員計画にも影響を及ぼすなど、企業側の損失は大きい。各社は若手社員のつなぎ留めに知恵を絞っている。(経済部 田中左千夫) 512人中9人――。一般的に入社から3年で3人に1人が退職する中、資生堂では、過去3年間に入社した若手社員の「退職率」がわずか1・8%にとどまっている。今年春の入社組は、まだ1人も退職していない。 東京・代々木にある資生堂の首都圏の販売拠点では、4月に配属された新人5人が指導を受けている。 「商品をどう陳列すればお客様の目を引くのか」「売れ行きが目標に達しなかったのはなぜか」――。 安易に答えを示さず、ヒントを与えながら新人の回答を引き出す。「日々、新しい発見がある」と新人の輿水英美子さ