ウォルマートのような米国小売業のオムニチャネル戦略を歴史的に振り返ってみると――といっても、この10年くらいの短い歴史だが――最初の頃に比べると、その中身が変化してきていることがわかる。 第1段階は2000年代半ばで、O2O(Online To Offline)、つまり“オンラインからオフラインへ”といわれていた頃。ウォルマートでいえば、05年からの2年間のテストを経て、07年にインターネットで注文した商品を店舗で受け取れるサービスを全店で始めた頃だ。ウォルマートのテストによれば、ネットで注文した客の3分の1が店舗で受け取ることを選択する。そして、そういった客の60%が店舗に来たついでに60ドルの付加購買(衝動買い、ついで買い)をする。 従って、店舗受け取りサービスを提供することで付加売り上げが期待できるリアル店舗のほうが、アマゾンのようなネット専業よりも競争優位に立てるというのが当時の大