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2015年2月13日のブックマーク (2件)

  • 柄谷行人と占星術 - 学者たちを駁して

    柄谷 〔…〕結局われわれが近代物理学の眼で物と言っているものは、実際には、あとから方法的に見出されたものだし、根には、フェティシュ〔呪物〕というような物、それ自体がシーニュ〔記号〕であるような物があるんじゃないか*1、というふうに思うんですよ。 ―『フェティシズムについて』(1978年)。*2 柄谷行人は、人間の脳から意識を引き出すロシア流の唯物論も、精神から存在を引き出すドイツ流の観念論も等しく否定している。それゆえ、上で考えられている「物」というのは、飄飄たる精神でないことはもちろんだが、また固定した物質でもない。彼は『資論』のマルクス*3が言う「商品」を「物」と言い換えているのである。「物」という語のこの奇妙な用法には、記号論が考える「言語」とマルクスの言う「商品」を同じ視点から眺める彼のおもしろい*4考え方がはっきりとした形で現れている。 〈それ自体がフェティシュでもあり記号で

    柄谷行人と占星術 - 学者たちを駁して
  • 菊池 寛 石本検校

    将棋指しの天野富次郎と石 いしもと検校 けんげうとが、一緒に深川の松井町の茶屋金万 きんまんを出たのは、子 ねの刻 こくを廻つてからだつた。 二人の手合 てあはせを、初めから見てゐた旗の市川備中守は迎ひの駕籠で、先へ帰つた。同席してゐた木場 きばの相模屋の隠居は、金万を出ると直ぐ、右と左に別れた。 同じ、芝に住んでゐた天野と検校とは、嫌でも一緒に帰らねばならなかつた。一緒に帰ることは、勝つた宗歩にはさう不快ではなかつた。が、四番指して、一度しか勝てなかつた検校には宗歩と一緒に帰ることは、負け腹のどうにも収まらない気持を、家まで背負つて行くことだつた。 天野は、その前年の春からずつと諸国を遊歴し、この夏に江戸へ帰つたばかりだつた。 備中では香川栄松を破り、大坂で深野宇兵衛に勝ち、四国では、無段名人と呼ばれてゐた天下無敵の四宮金吾に香 きやうを引いて、その鳥指しを、一蹴し去つた彼の強さは、

    jgw
    jgw 2015/02/13