問題と見られる洗浄剤を作っているメーカーは、愛知県にあった。取材交渉は難航するかと思いきや、二、三度の電話のやり取りで「取材に応じてもいいですよ」という答えが返ってきた。私はさっそくそのメーカーを訪ねた。 質問に答えてくれたのは、工場長という肩書の年配の男性だった。彼は次のように説明してくれた。 「(問題となった)洗浄剤に含まれているのは、『ジクロロメタン』と『1,2-ジクロロプロパン』。どちらも塩素系の化学物質です。 このうち、ジクロロメタンは有機溶剤中毒防止規則で規制されており、取り扱いに規則があります。まず、取り扱う際は防毒マスクの着用が義務づけられています。また、利用者は特別な健康診断を半年に一度受ける必要があります。一方、1,2-ジクロロプロパンに規制はありません」 マスク着用を義務づけられるほど毒性のある化学物質を使っていることを、印刷会社SANYO-CYPはわかっていたのだろ