歴史研究者 山田篤美 歴史研究者の山田篤美です。今日は、意外と知らない真珠の歴史についてお話したいと思います。 さて、このアコヤ真珠ですが、その産地は、世界的に見て多くはありません。というのは、アコヤガイは暖かい南の海の海底にいる貝だからです。潜らないと採れない貝でした。 そのため素潜りができる海人がいることも、真珠の産地になる重要な条件でした。 日本は古代から真珠の産地として有名でした。それを述べているのが『魏志倭人伝』です。 卑弥呼の後継者の壱与という女王が、白珠、つまり真珠ですが、その真珠5千個を中国に献上したことを、『魏志倭人伝』は記しています。この記述から、真珠は日本最古の輸出品だったことがわかります。 もうひとつ興味深いのが5千個という数字です。真珠は1万個のアコヤガイからひとつかふたつしか採れません。5千個の真珠をうるには、最大5千万個のアコヤガイが必要です。その5