八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設予定地の利根川水系の吾妻川とその支流で、国土交通省が少なくとも93年以降、環境基準を超えるヒ素を毎年検出しながら、調査結果を公表していなかったことが朝日新聞社の調べでわかった。下流で取水する飲用水の水質に影響する結果ではないが、ダム建設の是非に影響しかねないとみた国交省が、データの公表を避けて計画を進めていた。 国交省は昨年12月から政権交代直前まで、非公表の第三者機関「八ツ場ダム環境検討委員会」を設け、ダム建設が水質や自然環境に与える影響を検討。朝日新聞社は「八ツ場ダム 環境保全への取り組み」と題した報告書を入手した。非公表とされてきた水質データが記されている。 ヒ素は自然界に広く分布し、火山の岩盤や温泉水には高濃度で含まれる。環境基本法に基づく河川の水のヒ素の環境基準は1リットル当たり0.05ミリグラムだったが、世界保健機関がヒ素の発がん性を懸念