【禅語】麻三斤 麻三斤(まさんぎん)という禅語がある。 後梁から宋にかけての時代(約10世紀:中国)を生きた洞山守初(とうざんしゅしょ)禅師の言葉である。 禅の公案集(悟りの機縁を集録した書物)である『碧巌録』に、この麻三斤という禅語が生まれたきっかけとなるエピソードが綴られているので、まずはそのエピソードを読んでみたい。 麻三斤と言われても、おそらくまったく馴染みのない言葉だと思うので。 『碧巌録』にみる麻三斤 ある時、1人の僧が守初禅師に質問をした。 「仏とは何でしょうか」 守初禅師は答えた。 「三斤の麻」 以上。おしまい。これだけ。 ……エピソード、短っ! 三斤の麻とは 斤というのは重さの単位で、三斤あれば僧侶の衣を一着仕立てることができるという。 守初禅師の暮らしていた湖北省の襄州地方は麻の産地として有名だったというから、守初禅師にとっても麻はとても身近なものであったと思われる。