合衆国南部生まれのジャズがいかにして大西洋を渡り、フランスで受容され、フランスの音楽、映画、文学、美術などのシーンとどう共振しあったか。 この『パリの空の下ジャズは流れる』は、フランス20世紀カルチャー史にして、文化の磁場としてのカフェ史、ジャズミュージシャンや文学者達のきらびやかな人物伝でもある。題名は、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督が群像劇の手法でパリの男女の24時間を描いた『巴里の空の下セーヌは流れる』(1951年)のもじりだろう。 合衆国南部はもともとフランスと関係が深い。ナポレオンが売却するまでフランス領だった。ニューオリンズという呼称はヌーヴェル・オルレアン(新オルレアン)から、ニューオリンズを首都としたルイジアナ州(現在のルイジアナ州よりずっと広大な領域を指し、本国の数倍あった)はルイ14世にちなんでのこと。同好の士(酒呑み)のためにつけ加えるなら、バーボン・ウィスキーのバー
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