毎日の暮らしの中で、ふと「ここではないどこか」へと思いをはせることがある。 日々、同じような場所で、同じような仕事をして、同じような人たちと話をし、同じようなものを食べて、同じような時間に眠る。 それをずっと繰り返しているうちに、こんな暮らしとはちがう「ここではないどこか」に行くことができたら、と考える。 もちろん、そのどこかにたどりつけたとしても、またその場所では色々と面倒なことが起こったり、退屈なこともあったりするのだろうけれど。 しかし最近は、その「ここではないどこか」が、どこにもないような気がしてならない。 それはもちろん歳を取ったからというのもあるかもしれないが、それ以上に、世界がどんどん小さくなってきている。 簡単に世界中に行けるようになっただけでなく、実際に行かなくても、誰がどこでどんなことをしているのかを、簡単に知ることができるようになった。 しかし、そうやって知ることがで