年末年始の帰省で、半年ぶりに末弟と再会した。並ぶとまだ私より身長が低い子供に、ちょっとかわいそうかな、と思いつつ、やっぱり言ってしまった。次に会ったら絶対に言ってやる、と決めていたことを。 「あ、結局、ほっとくことにしたんだ? 世界のまずしさは。」 憶えていますか? そう、ホワイトバンドです。中学生の弟はブームのさなか、うまい棒30本分もの小遣いを払ってあの腕輪を買い、いそいそと左手首につけていた。それをしつこく憶えていて、はずした途端に投げかける台詞まで準備しておいたのだから、我ながら意地悪な姉である。 * * * 私が母校はカトリック系で、年中「募金」をしていた。生徒たちは羽根の共同募金で街頭に立ち、東南アジアの少女に教科書を買い、養護施設へ使わないタオルケットを届けた。ところが或る募金の折り、担任がホームルームで「昨年の募金額が芳しくなかったので、今年は一人一律500円とします」と