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ブックマーク / medt00lz.s59.xrea.com (14)

  • 乱暴な言葉の使いかた - レジデント初期研修用資料

    状況に火がつくと、たいていの人は足がすくんで立ち止まる。不明の状況にあって、動くことを決断するのは大変で、止まるとたいてい、状況はもっと悪くなる。 最初に動いて、乱暴な言葉で大声を張り上げて、背中を押せる人が、だから必然的にリーダーになる。 「怒鳴りかた」にも文法があって、単に大声を出せる人と、大声で指示を出せる人とは異なってくる。 人望のあるイワシはいない イワシの群れのどこかにも「頭」に相当する個体がいる。「リーダーイワシ」は、人望があるとか、他の個体より頭がいいとか、リーダーシップにつながる何かを持っているわけではなくて、単に「一番最初に舵を切った」ということが、その個体を暫定的なリーダーに押し上げている。群れの生き死にがかかっている状況にあって、まわりの情報を把握できている個体がいないのならば、最初の判断を行った個体に、群れはそのままついていく。 選択枝を明らかにした上でお互いの落

    jumitaka
    jumitaka 2011/05/11
  • 制服が感情を作り出す - レジデント初期研修用資料

    楳図かずおのSF短編で、どこだかすごい重力の惑星を探査するために、人体を改造する話があった。 探査に参加するのは男女の科学者で、主人公の青年は、先に改造された女性学者が怪物にしか見えない容貌になってるのを見て絶望していた。プロジェクトはそれでも進んで、主人公の外見も、どんどん怪物へと変わってしまう。 最終的に、主人公も全身がアメーバみたいな生き物に変態して、女性学者と同じ環境で過ごせるようになる。「人類」視点から見て、両方とも怪物にしか見えない者同士、初めて隔壁が開いて対面して、主人公が相対した怪物に向かって、「私はあなたを美しいと思う」とつぶやくいていた。 私はあなたと違う 「第9地区」という映画も、外観の断絶がテーマの一つだったし、「ヘルシング」の少佐も、「私はあなたとは違う」ということが、闘争のはじまりであり、原動力なのだなんて看破していた。 お互い分かりあうためには、お互いに地続き

    jumitaka
    jumitaka 2010/05/04
  • 扇動の技術 - レジデント初期研修用資料

    バスが遅れる。待っている誰もがいらつく。不満のエネルギーが貯まる。 「バス会社はバスの増発を行うべきだ」という提案は、改革者のやりかた。 みんなが持っていた漠然とした不満は、現実的な提案へと落とし込まれる。 問題は解決するけれど、話はそれで終わって、せっかく集まった「不満」のエネルギーは散逸してしまう。 「これは何もバス会社のせいじゃない。全ては言葉もろくすっぽ話せない 外国人のせいだ。奴らを追い払わないといけない」というのが、扇動者のやりかた。 聴衆の不満を提案に変換しないで、たとえば「邪悪な外来者」のような、特定のテーマに翻訳する。 扇動者は、漠然とした不満を抱いた聞き手に対峙して、扇動者が持っている世界イメージを通じて、 聞き手の不満を実体化してみせる。 改革者はしばしば、特定の問題を解決するために、聞き手の努力を要求する。 扇動者は単に、「あらゆる抑制を取り払おう」という、聴衆の

  • 改良の誤謬 - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります デザインは記号との勝負 デザインとは、橋の形を考えることではなく、向こう岸への渡り方を考えることなのだという。 デザイナーが「橋」という使い古された記号にとらわれる限り、新しい発想は生まれないし、 橋が記号として再発明されるなら、デザイナーの出番はない。 デザインとは記号との戦い。デザイナーは記号に挑んで、 そもそもの「記号」が要請された需要を探って、 記号をデザインした人が、かつて成し遂げた成果を越えようとする。 橋という記号に負けたデザイナーは、うなだれて記号を受け入れて、その場を去る。 記号に打ち勝ったデザイナーは、新しいアイデアで顧客を驚かせて、 それでようやく、記号は再びデザインされる。 橋という記号を受け入れたデザイナーが、それで

  • 空気は構造が決定する - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 「その場所の雰囲気」というものは、そこにいる人よりも、むしろ その場所を作っている環境とか、構造みたいなものが決定する要素が案外大きい。 「こんな雰囲気にしたい」なんて思ったら、ルールを作るよりも、 むしろそうならざるを得ない構造をどう実装するのか、それを考えたほうが正解に近い気がする。 炎上するコメント欄 コメント欄で異なった意見の応酬が行われると、たいてい最後に行きつくのは、 大声コンテスト。 お互い口先だけ丁寧語使い回して、その場の空気は箸が立ちそうなぐらいに こってりドロドロ。対立が長引くほどに、まわりが引くほどに、 喧嘩している当人の声は大きくなって、収拾つかなくなる。 たくさんの人が書き込むページは、管理大変だろうなと思う。 こん

  • 標準偏差の復権が来るのかも - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 道路特定財源のお話が、ニュースで流れてた。 夜にやってたのは、都内で開かれた道路討論会。民主党の国会議員と、 宮崎県の東国原「そのまんま東」知事と、あと何人か。寝る前に見たニュースで流れてたのは、 和歌山県を視察しにきた民主党議員と、それを迎え撃つ地元県会議員の人達。 「ながら」見しながら考えてたこと。 タレント議員のこと 討論会。東国原知事は、自分の役どころをよく分かってるように振舞ってた。 知事は、地元では眼鏡をかけずに、ジャンパー羽織って宮崎県の宣伝に 駆けまわってるイメージ。まじめだけれど下世話な立ち位置。 昨日の討論会では、きちんとスーツを着こなして、フレームの薄い眼鏡をかけて、 自分の立場を訴えるときも、声の抑揚を大分抑えていた。

  • 医療のない都市のこと - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 隣接する市の救急体制が完全に吹き飛んだ。 10 万人以上住んでるところなのに、夜になるともう、どの施設も救急取らない。 そこにはたしかに救急輪番制もあって、「救急指定」うたってる病院は いくつかあるけれど、実質機能していない。専門家がいないだとか、 能力的に受けられないだとか。 夜中に厄介な人が病気になると、その市ではみんな白旗揚げて、 救急車は1時間ぐらいかけて、うちであったりもっと大きな病院であったり、 どこか別の街まで救急車を走らせる。 こんな状態は、せめて議会で問題にはなってるんだろうけれど、 書類上はたぶん、その市の救急体制は「足りてる」ことにされていて、 行政は、今以上の行動をおこせないはず。お金かかるから。 「だろう」が全てを悪

  • 真実の論理脆弱性 - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 痛みの定量問題 「痛み」「苦しみ」みたいな、定量不可能症状は、評価をするのが難しい。 医療主義は、患者さんの訴えというものは全てが真実であって、 痛みや苦しみの原因は、もちろん患者さんの体内から発生すると考える。 ここを外すと、この商売は根から成り立たなくなってしまう。 医療主義の通用しないケースはたくさんある。 痛みを訴えることで麻薬を手に入れようとする人たちであったり、 あるいは人の自覚症状それ自体が、家族に心配してもらうとか、 何かの利益につながっているケースであったり。 家族がおろおろすると、あるいは主治医が近づいてくると、痛みが落ち着く人がいる。 家族が無視したり、医師が立ち去ろうとすると、痛みが強くなる。 こんなケースでも、

  • NHKのインフルエンザ番組 - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 発症率と弱毒化 ウィルス感染症みたいな疫病のお話をするときには、体内に入ったウィルス粒子が 実際に病気を引き起こす「発症率」と、ウィルスや細菌が進化する方向としての 「弱毒化」の問題とがあって、危険度の見積もりかたで、温度がずいぶん異なる。 大腸菌O-157 であったり、ノロウィルスの感染症なんかは、来が比較的珍しい病気。 だからこそたぶん、発病率をある程度論じることができて、 数十個オーダーの粒子が体内に入った時点で、 かなり高い確率で発症するなんて言いかたができる。 実際問題、集団感染が容易におきるし、入院しても、患者さんからよくうつる。 インフルエンザみたいな大規模感染症になると、そのあたりがよく分からない。 シーズンになると、たくさ

  • レジデント初期研修用資料: ネット時代の煽動技法

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります ジャーナリストの 有田 芳生 氏が、北村弁護士の演説を、コラムで批判的に紹介していた。 「声が裏返り、口汚く語っている。どこの議員だろうかと冷ややかに見ていたらキタムラとかいうタレント弁護士だった」 有田 氏の言論は、一見見たままの事実を語ったようでいて、「口汚く」であったり、 「キタムラとかいうタレント弁護士」であったり、事実と事実とをつなぐ言葉に 自らの意思を忍び込ませる、伝統的な言論技法。 冷ややかに見たのは誰なのか。キタムラをしょせんタレントだと見下したのは誰なのか。 もちろんそれは文章を書いた有田氏自身なんだけれど、文章が上手な人は、 それを「読者一般」の視点から見たように描く。 「ジャーナリストである有田氏個人はこう思った」という

  • 犬のしつけと社会のインフラ - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります イヌには道徳心も忠誠心もない 安全か危険かの判断はできても善悪の区別はできない 犬には「人を喜ばせよう」という動機はない 犬は「忠誠心を持った友達」なんかではなく、利己的に振舞う、別の文化を持った生き物。 道徳心なんて最初から実装されていないから、「犬に道徳心を育てよう」という態度ではなくて、 「人間が好む振る舞いをインストールしよう」という立場のほうが正しいらしい。 犬飼った。 慣れてきて領発揮したのか、もう暴れまくって大変。うちにはソファーセットがなくて、 来客用にドイツのパソコン椅子があるんだけれど、すでに座面ボロボロ。 叱っても、うれしそうに尻尾を振るばかり。 ほめて伝える そもそも犬は、叱られたことと、ほめられたことを区別できない

  • できる人はみんな正装 - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 社会的に成功した医師であるとか、たぶん多くの技術系の人達というのは、 みんな普段から正装しているか、あるいはその人の正しさを保証してくれる コミュニティを周囲に作って、いずれにしても外から見て「正しい格好」を保っている。 技術要素と営業要素 そろそろ社会に出てくる研修医の人達は、最初のうちはネクタイに背広、 それができないのならば、少なくとも清潔で、社会的に正しい格好を外してはいけない。 仕事には、技術的な要素と営業的な要素2つの側面があって、技術がすぐれているだけ、 営業が上手なだけ、どちらか一方だけでは絶対に成功しない。 両者はある程度までしか補間できない。 技術が足りないものは、どんなに営業したところで結局売れないし、 どんなにすぐれた

  • いやな予感の伝えかた - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 集中治療室の仕事というのは、人間と機械との共同作業。 集中治療室の患者さんは、体中センサーだらけになってベッドに横になる。 患者さんは意識がなかったり、呼吸器につながれて鎮静されていたり。 体中電線だらけ、機械だらけ。診察もろくにできない。 集中治療室では、センサーが伝えてくれる数字の情報が頼り。 リアルタイムで変化する数字をモニター画面で追っかけながら、薬を調節したり、 人工呼吸器を調節したり。 「数字だけ見て何かするだけなら、この仕事は、完全に自動化できるんじゃないのか?」 みんな一度は考える。実際、インテリジェントICU の実験は論文になっているし、 人工呼吸器制御のインテリジェント化はもう実用にもなっている。 個人的には、これは絶対使

  • よいものと残るもの - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 引越しをきっかけに、部屋を占領していた書類やの山を半分近く処分したときに 考えたこと。 ネット以前 学生の頃に愛用していたのは、袋ファイルと製機。 パソコンはまだ普及してなくて、部屋の壁は全部棚。 机2つと、業務用のコピー機と製機が家財道具の全て。 いちいちを開くのは非効率。調べ物をしたり、何かを書いたりするときは、 必要な部分だけをコピーする。角をホチキスで止めただけの紙の束と、 背表紙をつけて製した資料とでは、生産性が全然ちがう。 大事な資料は製して保管して、そうでもないのは袋ファイルにインデックスをつけて保管して。 就職してから何回も引越しを重ねたけれど、資料の山はずっと一緒についてきた。 ダイアルアップ時代 インターネッ

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