ブックマーク / blog.tatsuru.com (12)

  • セックスワーク-「セックスというお仕事」と自己決定権 - 内田樹の研究室

    20年ほど前に性についての倫理を主題にした論集に「セックスワーク」についての寄稿を求められた。まったく不得手な論件だったけれども、苦心して書いた。なんというだったか忘れてしまった。たしか岩波書店から出た論集だと思うけれども、もう手元にない。 考えていることは昔と変わらない。今はもうこんなにきつい書き方はしないと思うけれど。 はじめに 最初に正直に申し上げるが、私自身は、セックスワークについて専門的に考究したこともないし、ぜひとも具申したいような個人的意見があるわけでもない。ときどき、それに関する文章を読むが、数頁(場合によっては数行)読んだだけで気持ちが沈んできて、を閉じてしまう。困ったものではあるが、私を蝕むこの疲労感は、必ずしも個人的なものとは思われない。 私の見るところ、この問題については、どなたの言っていることにも「一理」ある。ただし、「一理しかない」。異論と折り合い、より広範

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    junchino 2022/07/02
  • 「内田樹の大市民講座・直感はわりと正しい」文庫版あとがき - 内田樹の研究室

    「文庫版のためのあとがき」 みなさん、こんにちは。内田樹です。『大市民講座』が文庫化されることになりました。手に取ってくださったことについてお礼申し上げます。 単行の「あとがき」を読むと、大瀧詠一さんが亡くなった翌年に単行が出たことがわかります。それから3年経って、今度は文庫化されることになりました。単行刊行時点で「過去6年半」分を収録したわけですから、現時点から起算すると、一番古いものは9年前に書かれていることになります。 「まえがき」でも「リーダビリティ」について少し書いていますけれど、それだけ時間が経ってしまった後になお時評がリーダブルでありうるのかどうか、僕にとってもたいへん気になるところです。 今回ゲラを読み返してみて一番経年変化が激しいのは「政治についての話」だということがわかりました。扱われている事件がどんな出来事だったのか書いた人にも思い出せないというようなトピック

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    junchino 2017/08/02
  • 村上春樹の系譜と構造 (内田樹の研究室)

    最初にお断りしておきますけれど、僕は村上春樹の研究者ではありません。批評家でもない。一読者です。僕の関心事はもっぱら「村上春樹の作品からいかに多くの快楽を引き出すか」にあります。ですから、僕が村上春樹の作品を解釈し、あれこれと仮説を立てるのは、そうした方が読んでいてより愉しいからです。どういうふうに解釈すると「もっと愉しくなるか」を基準に僕の仮説は立てられています。ですから、そこに学術的厳密性のようなものをあまり期待されても困ります。とはいえ、学術的厳密性がまったくない「でたらめ」ですと、それはそれで解釈のもたらす愉悦は減じる。このあたりのさじ加減が難しいです。どの程度の厳密性が読解のもたらす愉悦を最大化するか。ふつうの研究者はそんなことに頭を使いませんけれど、僕の場合は、そこが力の入れどころです。 いずれにせよ、僕が仮説を提示するのは、みなさんからの「真偽」や「正否」の判断を求めてではあ

  • なぜトランプ政権のスタッフは嘘をつくのか? - 内田樹の研究室

    というタイトルの記事が眼に止まったので、訳したみた。なかなか面白い。 Why Trump's staff is lying? Bloomberg View 23 Jan 2017 by Taylor Cowen 発足したばかりのトランプ政権のもっとも際立った特徴の一つは嘘の政治的利用である。先週話題になったのは、ドナルド・トランプの報道担当官ショーン・スパイサーが「トランプは就任演説でアメリカ史上最多の聴衆を集めた」という明らかな虚偽を申し立てたことであった。この事件をてがかりに、リーダーが自分の部下に嘘を言わせるとき、彼は何をしようとしているのかについて考えてみたい。 誰の目にも明らかなことは、この指導者が大衆をミスリードしようとしており、彼の部下たちにも同じことをさせようとしているということである。多くの市民は事後にファクト・チェックなどしないので、大衆をミスリードすることは別に難しい

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    junchino 2017/01/25
    トランプは大統領になることがゴールだったわけで、スタートじゃないから。
  • 立憲デモクラシーの会からの抗議声明 - 内田樹の研究室

    安倍内閣の解釈改憲への抗議声明 2014年7月2日 立憲デモクラシーの会 安倍内閣が7月1日、閣議決定によって憲法9条の政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を可能にする方針を示したことは、憲法の枠内における政治という立憲主義を根底から否定する行為である。これは、一内閣が独断で事実上の憲法改正を行おうとするに等しく、国民主権と民主政治に対する根的な挑戦でもある。 私たちは先に、以下のような論点を示した(6月9日)。 1 解釈改憲は憲法に基づく政治という近代国家の立憲主義を否定する。 2 首相が示した集団的自衛権を必要とする事例等は、軍事常識上ありえない「机上の空論」であり、強硬策がかえって危険を高めることを無視している。 3 「必要最小限度」の集団的自衛権の行使は不可能である。 4 東アジアで求められているのは、緊張の緩和である。 このたびの閣議決定は、以上の論点に照らし、とうてい容認でき

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    junchino 2014/07/05
  • NewYork Times 3月2日の記事から - 内田樹の研究室

    アメリカの対日世論はしだいに疑惑と不信の論調に傾きつつある。 New York Times の昨日の記事「安倍氏の危険な歴史修正主義」を訳してみた。 安倍首相の「真意」を記者が読み切れないのは、つねづね申し上げているとおり、「対米従属を通じての、対米自立」という自民党の伝統的な戦略の「意味」と、それを支える「心性」がアメリカ人には理解しにくいものだからである。 記事は首相の真意を「hard to decipher」と評しているが、decipher というのは「意味不明の言葉・暗号・古文書などを解読する」というかなり特異な含意の動詞である。 首相の対米姿勢は友好的なのか対立的なのか、よくわからないという先方の当惑がよく伝わってくる記事である。 なにより「does not want to be dragged into a conflict between China and Japan」(ア

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    junchino 2014/03/03
  • 大瀧詠一師匠を悼む - 内田樹の研究室

    朝日新聞から依頼があって、大瀧詠一さんの追悼文を書いた。 字数の関係でショートヴァージョンが紙面には掲載されたので、ブログにはオリジナルを掲げておく。 音楽映画について、信じられないほど広く深い知識を持っているだけでなく、ふつうの人は気づかないものごとの関係を見出す力において卓越した方でした。2歳違いですが、久しく「師匠」と呼んでいました。 ツイッターで大瀧さんが手がけた曲の元ネタについてつぶやいたら、数分のうちに「この二つを結びつけたのは地球上で内田さんが最初の人です」と返信をいただきました。うれしかったですね。大瀧さんの元ネタをみつけるのは、ナイアガラーにとって最高の勲章だからです。 一度聴いた曲はすべて記憶しているのかと思うほどの桁外れの記憶力でした。無人島に1枚だけレコードを持って行くなら何にするかという雑誌のアンケートで、大瀧さんは『レコードリサーチ』というカタログの1962~

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    junchino 2014/01/04
  • コミュニケーション能力とは何か? - 内田樹の研究室

    土木学会というところから「コミュニケーション能力について」の寄稿を頼まれた。 9月に書いて送稿したものが活字になって今日届いた。 学会誌なので、一般読者の目に触れる機会はないと思うので、そこに書いたものを採録しておく。 「コミュニケーション能力」とは何か 就活している学生が「これからはもっとも重視されるのはコミュニケーション能力だそうです」と言うので、「うん、そうだね」と頷きながらも、この子は「コミュニケーション能力」ということの意味をどう考えているのかなとちょっと不安になった。 たぶん「自分の意見をはっきり言う」とか「目をきらきらさせて人の話を聞く」とか、そういう事態をぼんやり想像しているのだろうと思う。 もちろん、それで間違っているわけではない。でも、どうしたら「そういうこと」が可能になるかについてはいささか込み入った話になる。 例えば、どれほど「はっきり」発語しても、まったく言葉が人

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    junchino 2013/12/29
  • 憲法記念日インタビュー - 内田樹の研究室

    5月3日に東京新聞の憲法記念日インタビューが掲載された。 お読みでない方のために、ここに転載しておく。 「いつもの話」である。 「それはもうわかった」と言われても、しつこく言い続けるのが身上ということで、ひとつ。 ―96条の意義をどう考えますか。 「変えるな」という意味だと思います。憲法は国のあるべき形を定めたもの。硬性であるのが筋です。政権が変わるたびに国のあるべき形がころころ変わっては困る。憲法改正している他の国も立国の理念まで変えているわけではありません。 改憲論者は、そもそも憲法が硬性であることがよくないという前提に立ちます。国際情勢や市場の変動に伴って国の形も敏速に変わるべきだと思っているから、そういう発言が出てくる。 これはグローバリスト特有の考え方です。 ビジネスだけでなく政治過程も行政組織も、あらゆる社会制度はそのつどの市場の変動に応じて最適化すべきだと彼らは信じています。

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    junchino 2013/05/04
  • 言語を学ぶことについて - 内田樹の研究室

    2002年に文科省はグローバル化する世界を生き抜くためには英語運用能力が必須であるとして、「英語が使える日人」の育成のための戦略構想を発表した。それから10年経った。日の子どもたちの英語運用能力が上がったという話は誰からも聞いたことがない。 大学サイドから見ると、新入生の英語力は年々劣化を続けていることは手に取るようにわかる。進学にも、就職にも、英語力は絶対に必要であると官民あげてうるさくアナウンスされているにもかかわらずその教育成果は上がらない。なぜか。 英語力の必要が喧しく言われるようになってからむしろ英語学力が低下したという事実は一見背理的であるが、考えれば説明がつく。 教科を習得したときの「報償」が学習開始時点であらかじめ開示されているからである。 報償があらかじめ示されると、学習意欲は損なわれる。考えれば当たり前のことである。 「ここまで到達すれば、こんないいことがある」とい

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    junchino 2013/03/19
  • デインジャーとリスク(しつこい) - 内田樹の研究室

    ある雑誌にまたまた「デインジャーとリスク」について書いた。 もうその話はいいよという読者も多いと思うけれど再録。 国際関係論では「危険」を「リスク」と「デインジャー」に使い分ける。 リスクというのは「マネージ」したり、「コントロール」したり、「ヘッジ」したりできる危険のことである。デインジャーというのは、そういう手立てがまったく効かない種類の危険のことである。 サッカーの試合で、残り時間5分で1点のビハインドというのはリスクである。サッカースタジアムにゴジラが来襲してきて、人々を踏みつぶし始めるというのはデインジャーである。 デインジャーとはまさかそんなことが起こるとは誰も予測しなかったために、そのためのマニュアルもガイドラインもない事態のことである。 私たちの社会は戦後67年間例外的な平和と繁栄のうちに安んじていた。そのために、リスク対応はできるが、デインジャーに対応するとはどういうこと

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    junchino 2012/07/18
  • ツイッターとブログの違いについて - 内田樹の研究室

    『街場の読書論』というを書き上げた。 ブログコンピなので、ゲラをいただいたのは一年近く前なのだが、他の仕事が立て込んでいて、手が回らなかったのである。 ブログのコンピというのは、他にあまりなさっている方がいないようだが、私は「よいもの」だと思う。 書いているときに「これはいずれ単行に採録されるかもしれない」と考えている。 だから、そのときになってあわてないように、引用出典とかデータの数値とはについては正確を期している。 ブログ上で他の方の著書から引用するときに、発行年や頁数まで明記する人はあまりいないが、こういう書誌情報は「あとになって」調べようとすると、たいへんに時間がかかるものである。 ほんとに。 それにそうしておくと、ブログが「ノート代わり」に使える。 ブログには検索機能がついているので、キーワードを打ち込むと、そのトピックについて私が書いたことがずらずらと出てくる。 その中

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    junchino 2011/12/30
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