東京オリンピック時の展示会場問題は、オリンピックの問題としては三番手、もしくは四番手である。このため競技会場問題他の蔭に隠れてしまう可能性があり、3月に詳しくレポートさせて頂いた『オタクの悲鳴だけではすまない、東京ビッグサイトが使えない深刻度』。当レポートはその続編に当たる。 まずは問題点の整理から そもそもの始まりは、東京五輪を安く上げたいという思いから始まる。五輪の費用がかさみはじめるようになったのは、某国がエンターテイメントに力を入れた演出をし始めてから。確かに面白い。五輪は隆盛を極めるが、掛かる費用も馬鹿にならない。開催国の費用負担がバカにならないのは、古今東西を問わず祭を盛大に催す時の問題であることも事実だ。 しかし新興国ではイイこともある。海外の人を迎え入れるので、国のインフラ整備が行われるからだ。昭和39年(1964年)の東京五輪もその通りだったと聞く。何もなかった原宿など、
■今回の一冊■ Killers of the Flower Moon 筆者 David Grann 出版社 Doubleday きっとハリウッドが映画化するだろう。一読してそう思わせる迫真のノンフィクションだ。1920年代のアメリカ・オクラホマ州で本当に起きた連続殺人事件の真相に迫る。サブタイトルに「The Osage Murders and the Birth of the FBI」とあるように、インディアのオセージ族(Osage)の20人を超す人々が次々と銃や毒薬で殺され、アメリカ連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出す。 オセージ族が住む土地は、豊富な原油を埋蔵していた。その地下資源の権利を保有するオセージ族は、油田を開発する権利を石油会社に売り巨万の富を抱えていた。その利権を狙う白人たちの手により、オセージ族の人々が次々と殺されるのだが、犯人はつかまらない。 当時は、科学的な捜査手法が
テレビのニュースには拾われないかもしれないけれど、ネットの一部で盛り上がったあの話題。知りたい人へお届けします。 自衛隊の好感度アップが目立つ20代 東日本大震災で被災者救出や復興作業に尽力した自衛隊。世のため、人のために働く隊員の姿は、組織のイメージアップにも大きく貢献した。 この事実は、内閣府が発表している「自衛隊・防衛問題に関する世論調査(http://survey.gov-online.go.jp/h26/h26-bouei/2-2.html)」(2015年1月)で確認することができる。毎年行われる世論調査の中で、「自衛隊・防衛問題」のテーマは3年ごとに実施されている。 この調査によると、「自衛隊に対する印象」についての設問で、「良い印象を持っている」「どちらかといえば良い印象を持っている」と答えた人の割合が全体の92.2パーセント。これまでのデータと比較して、過去最高の数字だった
生田よしかつ(シーフードスマート代表理事)著『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』(角川学芸出版)、通称「あなホケ」が出版されました。かつては居酒屋さんでオーダーすると、それだけで腹一杯になるような、でっかいホッケがでてきたものです。しかしそれは、今は昔の話。現在では、かわいいサイズのホッケが出てくるのはなぜでしょうか? これには深い理由があるのです。言われてみると「あれっ?」と思う、皆さんが気づいていないことが、身近な魚にたくさん起こっています。 小さくなった理由は主に3つが考えられます。(1)乱獲で魚の大きさが小さくなってしまった。(2)買負けで大型の魚が買えなくなった。(3)単価の上昇で、価格を抑えるために小さくした。 魚が大きくなる前に獲ってしまう日本 (1)乱獲で魚の大きさが小さくなってしまった 栄養分が減った影響で、魚の大きさが変わることがあります。例えば、
年末に一年を回顧するテレビ番組で繰り返し流れた元兵庫県議の号泣映像で、この男性の政務活動費問題が2014年に明らかになった問題だったと再認識した方も多かっただろう。映像のインパクトがあまりに強すぎて、いつのニュースだったか筆者(中村)も失念していたが、当の元県議は、年明けになって詐欺容疑で1月19日に送検された。この事件は地方議会の質の低下ともいうべき実態を改めて世の中に明らかにするきっかけとなった。 時代遅れでずさんな地方議会の実態 とはいえ、地方議会のこうした状況は、いまに始まったことではない。ずっと以前から言われていたことであり、筆者が地方支局勤務をしていた駆け出しの頃から多くの地域で見られた。地方議会を取材しても、どうみても役所の職員がおぜん立てして、代筆したような台本をそのまま読んでいるとしか思えないやりとりなど、著者が本書で紹介している「学芸会」ともいうべき状況を目にしたことは
「1バレル20ドルになってもOPECは生産枠を維持する」(サウジアラビアのヌアイミ石油相)こうした同国の姿勢に他の産油国は悲鳴を上げる。サウジアラビアの本音はどこにあるのか—。 原油価格が急落し、いわゆる逆オイルショックといわれる現象が起きている。この急落の要因となったのが、石油輸出国機構(OPEC)による価格調整機能の放棄であり、OPECを主導するサウジアラビアの原油市場に対する強い意思、すなわち、価格を犠牲にしても、市場シェアを維持するという方針であった。 サウジが意識する80年代の苦い記憶 2014年12月22日には、サウジアラビアのヌアイミ石油相は油価がバレル当たり20ドルになってもOPECは生産枠を維持すると述べている。地政学リスクさえなければ、1バレル20ドルまでいかずとも、40ドルを下回る可能性は考えられる状況にある。 ところでこうしたサウジアラビアの強い意思の背景には、「1
街を助けつつ、街に頼らない 地方で「面白いこと」をするために 地域活性化の現実を見よ(4)木下斉×飯田泰之 (全4回) *前回までの記事はこちらから 何人いれば都市は維持可能か 飯田:人が住む地域を広げる必要はなくなってしまっています。むしろ小さくしていかないといけない。イノベーションに必要なのは、人の数と密度なんですね。 都市における人口の最適規模は、財政学の分野では盛んに研究されていますが、行政のコスト面で見た効率がもっとも向上するのはだいたい20万人前後なんだそうです。ただ、この数字はビジネス面からは過少だと僕は思います。もう一回り大きい30万人が、ひとつのラインだと思っています。 ただしそれは、エリアを大きくして無理矢理30万人規模の自治体を作れということではありません。DID地域に人口の7~8割が居住している30万人都市※であることが必要なのではないかと思います。 ※30万人都市
前回の連載では、忘れられる権利をめぐる問題から、プライバシー概念に関わる世界の思惑を考察した(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3944)。 本連載で主張してきたように、インターネット環境やプライバシー概念については、国家間で共通した枠組みの成立が困難であり、それ故に大国間での様々な権力闘争が暗黙裡に行われているのが現状だ。そこで問題になるのは、アメリカとEUであったり、アメリカに反旗を翻したブラジルの関係であった。しかし、忘れてはならない国がある。そう、中国だ。中国の世界における影響力が増すなかで、サイバー空間をめぐる中国の姿勢が最近顕著に現れている。その際たる事例が中国政府内の海外製品締め出し事件だ。 今回は、サイバー空間をめぐる中国の態度について考察したい。 政府機関でApple製品が購入対象外に 米国時間8月6日、Bloombergが報じたところ
海外には政治主導で漁業改革に成功した事例が数多く存在する。これまで日本では目立った動きがなかったが、一部の政治家が動き始めた。こうした永田町の変化は霞が関にも影響を及ぼしはじめている。 日本漁業は必要経費である燃油代すら捻出できない状態であり、普通の会社ならとっくに倒産している。にもかかわらず、日本は、漁業の構造的な問題に向き合わず、補助金による問題先送りを繰り返してきた。世界の漁業がおしなべて成長する中で、日本だけが一人負けという状態が続いている。 海外には、政治主導で漁業改革に成功した事例が、数多く存在する。米国は、2002年に個別漁獲枠制度を導入し、漁業再生に成功した。経済学者ポール・クルーグマンは、「政府の介入は大成功で、漁業は活力を取り戻し、漁師と消費者の双方に利益をもたらした」、「やるべきとわかりきったことを、きちんと実行すれば、多くの人が予想する以上に容易に成果がでる」と指摘
間もなく土用の丑の日を迎えるが、資源量が減り続けるウナギは将来食べられなくなると言われている。また、海の生き物の話題としては、昨年末には、有名ホテルのレストランがシバエビを使用していると謳っておきながら、実際にはバナメイエビを使用していたなどの商品偽装問題が世間を騒がせた。他にも、今年3月には国際司法裁判所が調査捕鯨中止の判決を下した。日本の魚食を守るために、我々は限りある資源とどのように向きあっていけば良いのか。『日本の海から魚が消える日』(マガジンランド)を上梓した国際東アジア研究センターの小松正之客員主席研究員に話を聞いた。 ――今までにも漁業改革を訴える本を出されています。今回の本では、どんなことを意図して書かれたのですか? 小松:私は、故郷である岩手県陸前高田市広田町を含め、漁村地域の衰退が著しいのを目の当たりにし、2006年から本格的に水産業の改革に乗り出しました。これまでに日
異例ともいえる20数%もの自社制作率を誇り、一歩先行く事業活動で注目されるローカルテレビ局がある。 テレビ朝日系の北海道テレビ放送(HTB)だ。 同局のホームランといえば、1996年から断続的に続いているロードムービー的なお笑いバラエティ番組『水曜どうでしょう』(以下、『どうでしょう』と略す)だろう。『どうでしょう』をきっかけに大ブレークしたタレントが大泉洋である。昨今はNHK大河ドラマや民放の連続ドラマに出演するなど、役者としての地歩も固めた。 『どうでしょう』は、大泉と鈴井貴之がどこに連れて行かれるのか、そこで何が待ち受けているのか、一切分からぬまま日本全国を右往左往。その過程の中で二人だけではなく、藤村忠寿と嬉野雅道のディレクター陣を含めて交わされる会話・やりとりが味わい深く、時に顔を出す人間の本性=本音が面白哀しい異色のバラエティ番組である。国内だけでは飽き足らず、ベトナム縦断やオ
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