中国の全国人民代表大会(全人代)で、映画産業の管理に向けた法案審議が進んでいる。海外の映画会社の活動を制限するほか、当局が国家の安全を損なうと判断すれば製作を認めないなどの内容。近く成立する見通しで、行き過ぎた規制を懸念する声が出ている。 習近平指導部は、社会統制を強化する国家安全法や海外の非政府組織(NGO)の活動を規制する法律を相次いで整備。インターネット上の言論を取り締まる法律も制定に向けた作業が進んでおり、「法治」を名目に締め付けを強めている。これまでも映画産業を管理する同様の規定はあったが、法律に格上げすることで民主主義など「西側の価値観」が流入するのを厳しく監視する狙いがあるとみられる。審議しているのは「映画産業促進法案」。2014年時点で中国の映画産業が650億元(9880億円)規模に急成長したとして、秩序の維持や、「堕落した文化」による侵食防止を立法の必要性に挙げている。(